FC2ブログ

Entries

真言の音楽#22 ライ・クーダーはタバコ何本分待ったのか? Buena Vista Social Club

  名もなき者たちが起こした奇跡はライ・クーダーの一人旅から始まった。 E-M-M荒野にいるときより都会にいるときのほうが孤独を感じるロンサム・カーボーイのライ・クーダーにとって、ハバーナは「帰りたい街、帰れない街」でもあったか。ライ・クーダーはタバコ何本分待ったのか? ウォーレン・オーツの首を探し出し、持ち帰ることはできたのか? それらの問いについて考えながら聴くのは『Buena Vista Social Club』こそがふ...

二人の「ちょい不良オヤジ」の壮絶バトル キャノンボール・アダレイ&ビル・エヴァンス『Know What I Mean』

  「かかってきやがれ!」「上等だ!」このようにして、二人の「ちょい不良オヤジ」のバトルは始まった。RIVERSIDEつながりで、ジュリアン・キャノンボール・アダレイとビル・エヴァンスの共演盤。いわゆる「隠れた名盤」のうちの一枚だ。巷間言われる「隠れた名盤」については、多分に売り手側(レコード会社等)の思惑、謀慮のたぐいが背後にあるので眉に唾をつけておくくらいがちょうどいいが、それらのマヤカシ、ペテンとは遠...

真言の音楽#20 幸福の音楽 デイブ・ブルーベック・カルテット『Dave Digs Disney』

  ミッキー、ミニー、ドナルド、グーフィー、プルート、スヌーピーとその仲間たちとともに月の輝く夜をすごすことの幸福。BGMはデイブ・ブルーベックの『Dave Digs Disney』と『Quiet As The Moon』デイブ・ブルーベックもポール・デスモンドも快調、軽快そのもの。Dave Brubeck Quartetの黄金期、全盛期を示す1枚。『Time Out』2年前の録音。1曲目の『Alice in Wonderland/不思議の国のアリス』と4曲目の『When You Wish Upon a...

真言の音楽#19 ヴィルトゥオーソの親和力 オスカー・ピーターソン&イツァーク・パールマン『Side by Side』

  二人のヴィルトゥオーソの類まれなる親和力に脱帽する。リラックスし、音楽を、ともにあることを愉しみ、慈しむ二人の巨匠、ヴィルトゥオーソ。並んで。すぐそばで。手に手を取り合って。セナとプロストの憎悪と憤怒のSide by Sideではない。互いに認めあい、敬意を払い、手を携えて音楽を、ともにあることを愉しみ、慈しもうというSide by Sideだ。収録されている全パフォーマンスが素晴らしく、どれとは決めがたいが、あえて...

真言の音楽#17 「なんて素晴らしい世界」と歌い、彼女は逝った。Eva Cassidy『Live at Blues Alley』

   LA DIVA, EVA 歌う小鳥、夭折、Edge & Relation of Nature 1996年秋の土曜の朝、Song Bird、歌う小鳥イーヴァ・マリー・キャシディは宝石のような3枚のアルバムを残し、天国へと飛翔した。33歳。はやすぎる死だった。若き死はグレイス・スリックの肖像画のようにかなしく、せつない。生まれたのも土曜の朝だった。土曜の朝に生まれ、土曜の朝に天へと帰る。イーヴァ・マリー・キャシディの音楽、歌声のように哀しく透明で素...

真言の音楽#16 哀しくせつなくあてどなく儚い世界の終り スキーター・デイヴィス『The End of the World』

  スキーター・デイヴィスの『The End of the World』はナイーヴさがナイーヴなまま保たれていた季節、目にするもの耳にするもの指先に触れるもの、なにもかもが美しくかなしくあてどなく儚げに輝いていた世界とつながっている。 E-M-Mインターネット・ラジオで戯れにDJの真似事をしていた頃。番組の最後には必ずスキーター・デイヴィスの『The End of the World』をかけた。リスナーどもは若造小僧っ子小娘ばかりだったから、ス...

真言の音楽#15 ケルンの奇蹟/啓示、巫女、導き キース・ジャレット『The Köln Concert』

  最初の5音。四分音符5個。たったそれだけで引きずり込まれる音楽が存在する。 E-M-Mキース・ジャレットの究極至高のパフォーマンス、『The Köln Concert』から38年が経った。1975年1月24日。私は16歳で、世界や人間を憎みはじめていて、西ドイツ・ケルン市の中心に位置するオペラ・ハウスの最前列から7番目、舞台に向かってやや左寄りのカビ臭い席に座っていた。左隣りの席では私が世界で一番憎んでいる男、生物学上の父親がチ...

真言の音楽#14 僕のうた、私のふるさと。そして、友だち キース・ジャレット『My Song』

  20歳の頃、よく一人だった。心さびしかった。唯一の友はキース・ジャレットの『Country』だった。1日のうちで陽が当たるのは太陽が傾きはじめてからのわずかな時間だけという薄暗く湿って荒寥とした一人の部屋で何度も何度も『Country』を聴いた。咳をしてもくしゃみをしても欠伸をしても徹底的に一人だった。一人の部屋でおならをしたときだけはちょっとだけ笑った。屋根裏に住みついていて、ときどき姿をみせる小僧のカミサ...

真言の音楽#13 疲れ果てた男は帰ってきた。キース・ジャレット『The Melody At Night, With You』

  疲れ果てた男は帰ってきた。そして、一音一音を抱きしめるように、頬ずりするように、慈しむように奏でた。1996年、コンサートの最中に激しい疲労感に襲われたキース・ジャレットは、音楽家としてのすべての活動を停止し、その後2年にわたって「慢性疲労症候群」という原因不明の病いとの壮絶な格闘の日々を送った。疲れ果てた男は帰ってきた。そして、一音一音を抱きしめるように、頬ずりするように、慈しむように奏でた。キ...

真言の音楽#12 不良するビル・エバンスに鳥肌が立つ。Bill Evans Trio『Sunday at the Village Vanguard』

  25歳の天才ベーシストはこのライブを最後に散華した。 E-M-M ビル・エバンスを耳ざわりのいいカクテル・ピアニストだと思ったら大まちがいだ。そのアンダーカレントにはルサンチマンと反骨と反逆が強く静かに流れている。 E-M-M『Waltz for Debby』の双子の片割れ。同日録音。演奏そっちのけでくっちゃべり、飲んだくれるやかましい客にビル・エバンスがぶちきれる寸前の演奏に鳥肌が立つ。このヴィレッジ・ヴァンガードにお...

真言の音楽#11「新しい神話」は1980年9月、二人の若者によって創造された。

  二人の若者は時代を変え、新しい神話を創造した。このとき、パット・メセニー27歳、ライル・メイズ28歳。Pat Metheny & Lyle Mays - As Falls Wichita, so Falls Wichita Falls (1980)PersonnelPat Metheny - electric and acoustic six and twelve string guitars, bassLyle Mays - piano, synthesizer, organ, autoharpNana Vasconcelos - berimbau, percussion, drums, vocalsProducer: Manfred EicherReleased: May 1981Re...

真言の音楽#10 サリフ記念日

   このビートがイイネとマリが言ったから7月8日はサリフ記念日 E-M-M古代マリ帝国王家の直系の子孫にしてアルビノ。神の声を持つ男。神に選ばれ、視えない漆黒の十字架に磔にされし者。たいていの事態、事象はサリフ・ケイタの前では消し飛ぶ。どうということのない些事にすぎなくなる。こういうのを本物の一流というのだ。『FOLON』の哀愁と絶望と覚悟はどうだ?『YAMORE』の諦念と強靭はどうなんだ?『MANDJOU』の腹のくくり...

真言の音楽#9『不思議の国のアリス』を解読するための地図 エリック・ドルフィー『Out to Lunch!』

    演奏が終わった音楽は虚空へと消え、二度と取り戻すことはできない。 E-A-D ビッグ・フェイス・ガジン・フロム・アプリコットアイランドと「死に場所」と「死に方」について殴り合いながら土砂降りの雨の中を歩いているとき、話題は宇宙森羅万象、ソンブレロ銀河への帰還、ステファンの五つ子の養育権におよび、とりわけて、こと「音楽」と「表現」にかかわることとなると、宇宙を支配する巨大な意志の力のやつめが異常な...

真言の音楽#8 ジャズの神学 キャノンボール・アダレイ『Somethin' Else』

   黒いビニルのLPレコード時代。ジュリアン・キャノンボール・アダレイの『Somethin' Else』を合計22枚買った。すり切れ、針飛びを起こすほど聴いたからだ。22枚目の『Somethin' Else』は初発当時のものを忠実に再現した復刻版の重量盤だった。KING RECORD社製。それまでに聴いてきた『Somethin' Else』とは桁違いに音質が良かった。価格も高価だったが十分に納得した。紙ジャケットも実によくできていた。「オリジナルとコピ...

真言の音楽#7 森の奥ではいつも『TRAVELS』が聴こえていた。

   空を見上げ、人生は流れる雲のようなものだとわかったとき、森の奥からパット・メセニーの『TRAVELS』が聴こえてきた。背負っていた荷物をすべて放りだし、音のするほうへ、光のただ中へ向かって走った。森の奥、光の中心にそのひとはいた。森のひとだった。「やあ。ずっと待っていたよ」と森のひとは薪割りの手を休めて言った。森のひとのまわりに飛び散ったミズナラのかけらがかすかに明滅を繰り返していた。 E-M-M Pat ...

真言の音楽#6 First Song, Last Song/スタン・ゲッツ&ケニー・バロン『PEOPLE TIME』

  ファースト・ソングにしてラスト・ソング。重要なのは「死生観」である。「死生観」のない者を信用することはできない。 E-M-M1991年6月6日、スタン・ゲッツは逝った。22年が経つ。享年64歳。肝臓癌。長い闘病の末の死だった。つい先日、手持ち無沙汰にみた『ベニー・グッドマン物語』の中に一瞬、若き日のスタン・ゲッツをみつけたときはなつかしさがこみ上げるとともに涙がこぼれるほど心が揺れ動いた。遠い昔に死んだ友と再...

真言の音楽#5 ジャズの修行者から単独者へ/ジョン・コルトレーン『A Love Supreme/至上の愛』

  モードの十字架を背負いながら細く暗く険しく青い電車道を疾走したジャズの修行者のあとにぺんぺん草なし。 E-M-M1968年の冬以来、吾輩は『A Love Supreme/至上の愛』を言霊、呪文あるいは言祝ぎと聴いてきた。さらには「物語」として。PART1の『Acknowledgement/感謝』で神、天上界への御挨拶、そして、感謝、謝辞。「A Love Supreme, A Love Supreme, A Love Supreme・・・」の呟き。PART2ではいきなり転調してものすごい勢...

真言の音楽#4 生ける神話と伝説のサキソフォンの巨人/ソニー・ロリンズ『Saxophone Colossus』

  風の歌を聴いている暇があったら、ピンボールで遊んでいる暇があるなら『Saxophone Colossus』を聴け。刻め。 E-M-Mどっこい伝説のサキソフォンの巨人は生きている。生きて、いまだに神話を生みつづけている。伝説のサキソフォンの巨人、ソニー・ロリンズは生きている。1930年9月7日生まれ。82歳。現役。しかも、バリバリモリモリゴリゴリ。ソニー・ロリンズの代表曲であり、ジャズ・ミュージックの超名曲であり、名演中の名演...

真言の音楽#3 The Mantra Music@星の海/吉田美奈子

  女神の「音声」は言葉を超える。 E-M-M星の海『EXTREME BEAUTY』(1995) 1. VOICES (2'57") 2. BEAUTY (6'32") 3. MISTIC PARADISE (6'45") 4. COCO (5'04") 5. LIBERTY (4'18") 6. ANGELDUST (6'58") 7. SCENARIO (6'53") 8. STILL MOON (6'41") 9. 精霊の降りる街 (6'28")10. 星の海 (4'26")*All songs written by MINAKO YOSHIDA. except #5 lyrics by MINNIE SHADY & AKI*Voices Arranged by TATSURO YAMASHITA - #2リリ...

真言の音楽#2 The Mantra Music@On The Corner/Miles Davis

  「隅っこ」と見えていたM-Dの立ち位置こそは空前にして絶後の酷寒のミル・プラトーだった。 E-M-M始まりも終わりも明示されない中にこそM-Dの「沈黙の意志の力」を読み取らなければならない。 E-M-MMiles Davis - On the Corner(1972)1. On The Corner/New York Girl/Thinkin' Of One Thing And Doin' Another/Vote For Miles - 20:022. Black Satin - 5:203. One And One - 6:094. Helen Butte/Mr. Freedom X (Unedited Maste...

真言の音楽#1 Here's To Love/渡辺貞夫 feat. ロバータ・フラック

   本物の一流はすべて「内なる真言」を持っている。 E-M-M Here's To Love 『Rendezvous』(1984) Sadao Watanabe featuring Roberta Flack 渡辺貞夫 featuring ロバータ・フラック Here's To Love - Sadao Watanabe and Roberta Flack Here's To Love Here's to love I owe it all to you  You stepped into my life and brought me happiness  You took me in your arms  With love and tenderness  And made me r...

Appendix

プロフィール

自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

最新トラックバック

カテゴリ

Festina Lente.

R U Still Down Gun 4?

カレンダー

12 | 2020/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
298位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
40位
アクセスランキングを見る>>

QRコード

QR

樽犬の子守唄

Didie Merah
Blessing of the Light

樽犬が全速力で探します。