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ならず者のうた、命知らずの日々 ── 人生の最終目的地は絶景社交倶楽部

 
 
Desperado_Days800PX.jpg
 

木陰でひと休みしたいから道端の麦わらをどけてくれよ。
こんなことだからいつまで経ってもどこにもたどり着けないんだ。
R-M-M-F

きのうはアルト・セドロからマカネへ行き、クエトに着いたら次はマヤリーに向かった。
きょうもアルト・セドロからマカネへ行き、クエトに着いたら次はマヤリーに向かう。
あしたもアルト・セドロからマカネへ行き、クエトに着いたら次はマヤリーに向かう。
R-M-M-F

人生は考えているよりもずっとシンプルで、思っていたよりもはるかに景色がいい。E-M-M


エル・パソを出発したらエル・カミーヨに向かう。エル・カミーヨでは肉がシコタマ入った部厚いトルティージャとタコスを喰う。でっけえマントル海老がごろごろしててニンニクがバッチリきいたアヒージョもだ。腹とゼニに余裕があるならカジョスも喰うぜ。晩めし用にゃパエーリャをお持ち帰りだ。エル・カミーヨのパエーリャは冷めてもうまい。おれの知るかぎり、エル・カミーヨのパエーリャは南半球一だ。

エル・カミーヨを出たら、あとはエル・カルロスカスタネダを目指して、ずっとトパンガ・ケイヨンロードを行く。真っ直ぐな道。どこまでもどこまでもつづく真っ直ぐで赤茶けた道。なにも考えなくてすむ分、人生はずっとシンプルになる。

おれは人生をシンプルにするためにエル・パソを出て、エル・カミーヨで肉のぎっしり詰まったトルティージャを喰い、エル・カルロスカスタネダを目指してトパンガ・ケイヨンロードを走る。それで人生はずっとシンプルになる。景色もよくなる。絶景と言ってもいい。その繰り返しだ。それがおれのようなデスペラードの人生の日々だ。Djobi Djobaだ。


Desperado-EAGLES800PX.jpg


おれたちデスペラードの人生に追い越し車線は用意されちゃいない。追い越し車線はカネのある奴らや力のある奴らやお上品なおセレブ様方専用だ。おれのようなデスペラードはいつだって追い越されるばかりだ。

でもよ。そんな人生もなかなかどうして捨てたもんじゃない。おれを追い越していった奴らの煤けた背中、うそとインチキとまやかしときれいごととおべんちゃらとクソにまみれた後姿を拝んで、ああでもないこうでもないとジャグリングして、ジャイブして、ジョークにすることができるんだからな。これでどこにでも持ち歩けるおれ専用のジュークボックスでもありゃあ、言うことなしだ。そのジュークボックスにブエナビスタ・ソシアルクラブとイーグルスとGipsy Kingsとグスターボ・サンタオラージャのレコードが全曲入っていたら天国にいるも同然だ。HIP HOPだあ? それってうめえのか? おれの街では犬のエサだ。

おれがなにを言ったところで奴らには聴こえないし、届かない。第一、奴らには他人様の声を聴きとれるだけの耳がないんだ。ざまあみろってんだ。おまえたちに聴こえないのをいいことに、おれはいつもおまえたちを嘲り笑っているという寸法だ。そして、おれはいつか必ず訪れるインスピレーション、閃きを待つ。Gipsy Kingsの『Inspiration』をカーラジオで聴きながらな。おれはファニカとチャンチャンたちのように生き、ファニカとチャンチャンたちのようにくたばるんだろうさ。

ファニカとチャンチャンたちのように生き、ファニカとチャンチャンたちのように死にたいとずっと思いつづけてきた。あるいはジプシー・キングスの『閃き』のように。感傷やニートさや曖昧さのない生と死。あるのは事実だけ。リアル。レアル・マドリードのような、ロス・ガラクティコスのような完全無欠のリアル。

余計なことを一切考えなくていい人生。手加減も容赦もない光。赤茶けた道。乾いた風と空気。アクースティック・ギターの音。絶望さえ手のひらの上で転がすことのできる日々。希望やら平和やら友愛やらを躊躇なく世界の果てに向けて蹴り飛ばせる心。デラシネが耳元でやけに明るい声で「死ね死ね」と囁く日々を。

海辺の街では砂を篩にかける。粒の細かい砂だけを選り分ける。細かければ細かいだけ高く売れる。トルティージャを1枚多く喰える。そんな日々、そんな人生。文句のつけようがないほどに乾いてリアルで研ぎ澄まされた人生の日々だ。

余計なお荷物はエル・ドラドにまとめて捨ててきた。いまごろ、だれかが拾っているだろうよ。おれにとっては役立たずなガラクタでも、ほかのだれかにとってはお財宝かもしれないしな。だれかが捨て、だれかが拾う。それでいい。それが世界の仕組みだ。世界はそんな風に出来あがっているんだ。単純だが「永遠の真実」ってやつだ。

そして、最終的におれが目指すのは、おれの人生の目的地は絶景社交倶楽部だ。ほかにはなにもない。必要もない。絶景社交倶楽部にたどり着くことができれば、おれは死んだっていい。

その日のために、おれはきょうもエル・パソを出発してエル・カミーヨに向かう。エル・カミーヨでは肉がシコタマ入ったトルティージャを喰う。エル・カミーヨを出たら、あとはエル・カルロスカスタネダの町を目指して、ずっとトパンガ・ケイヨンロードを行く。真っ直ぐな道。どこまでもどこまでもつづく真っ直ぐで赤茶けた道。きょうも人生はシンプルで、いい景色だ。


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ならず者のうた、命知らずの日々




     

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