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ハイデガーの愛人の絶望とCosina Voigtlander NOKTON 58mm f1.4的世界と彼女の寂寥

 
 
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 なにものも濡れねずみの孤独を癒すことはできない。E-M-M


 銀座4丁目交差点。ライトアップされた和光の時計台が9時の鐘を打つ。強い通り雨。三原橋脇の世紀末ホテルのペイヴメントが銀座の街のあかりを受けて艶かしく光る。
「ハンナ・アーレントがハイデガーの爺さんの愛人だったなんて。そんなこと、死ぬまで知りたくなかった。しかも、こんな夜ふけに」
 彼女は吐き捨てるように言い、青いレインコートの襟を立てた。そして、「世界の果てにある木樵小屋に閉じこめられているような気分よ。日毎夜毎、哲学者の手にいたぶられるひとりぼっちのねずみのほうがまだましだわ。なにもかもが Cosina Voigtlander NOKTON 58mm f1.4 で見ているみたいに青く煙っていく。" 時間性 "について考えるのはきょうかぎり、やめにする。濡れねずみの孤独を癒すことはだれにもできない」とつけ加えた。

 通りをゆくだれもがハネをあげながら早足に家路を急ぐ。あたたかな笑顔と良妻のクリームシチューの湯気が待つ家へ。事前にウェストかルノワールで打ち合わせでもしていたように店々のあかりが順番に無表情に素っ気なく消えてゆく。ドライケーキを踏みつぶしたようなシャッターの音がざらついた心を駆り立てる。通りをゆく人もネオンも街あかりも蒼い河を流れてゆく。二度と引き返せない蒼い河を。
 仕方ない。漕ぎ出そう。ゆっくりと。誰にも気づかれないように。音を立てないように。夜の中へ。夜はやさしい? いつだって夜は深く、残酷で、容赦ない。

 私は孤独なナイトウォーカー。雨の中のナイトウォーカー。みんなひとりぼっちのナイトウォーカー。




     
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