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不条理ゆえに吾信ず#4 紅蓮に染まった源氏の旗印を掲げた血みどろの武将

 

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木村藤子には心底驚かされた。前後の背景事情経緯は省くけれども、木村藤子は虹子を一目見るなり、突然、「あら。鉄砲水では大変なことだったわね」と言い放った。虹子は目を見開いて口あんぐり。吾輩は鳥肌が立った。
鉄砲水。それは虹子の実家が鉄砲水に遭い、命からがら生き延びた出来事だった。虹子が中学1年のときのことだ。そのときの鉄砲水で虹子の実家のある集落では多くの人が死んだ。そのとき助かったのは、「白蛇様」を篤く信仰していた虹子の爺様が鉄砲水襲来の直前に、「二階さ、上がれ」と言って、一族の者全員を避難させたからだった。
爺様の言は別として、木村藤子がなぜ虹子の「災難」を言い当てえたのかについてはいくつかの解釈を得ているけれども、まだ完全ではない。超能力だの心霊現象だのというなまくらな言葉でくくることに意味も意義もないが、対象者の心性、心的現象あるいは意識と同期同調あるいは解読し読み取る能力を持つ者はたしかにいる。
木村藤子と会うのは虹子も吾輩も初めてであったし、木村藤子を吾輩たちに紹介した人物は吾輩の取引先の人物であった。木村藤子も紹介者も虹子の出自、出身地、経歴を知るすべはないし、そのことは吾輩についても同様だった。
別れ際、それまでいかにも不自然に吾輩について言及しなかった木村藤子が言った。「あなたの背後に紅蓮に染まった源氏の旗印を掲げた血みどろの武将がいる」と。言葉を失い、総毛立った。吾輩の家紋は御所車(源氏車)だ。
紅蓮に染まった源氏の旗印を掲げた血みどろの武将。遥かに遠い昔、まったくおなじことを、まだテレビや雑誌などのメディアに登場するずっと以前の無名時代の宜保愛子に京浜急行の仲木戸駅近くの雑居ビルの一室で言われたことがあざやかによみがえった。吾輩がいつも世界を他者をぶった切りたくて仕方ないのはこの「紅蓮に染まった源氏の旗印を掲げた血みどろの武将」の影響ででもあるか。

不条理ゆえに吾信ず。


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