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Eagle 810/鷲は米軍横田基地を飛び立ち、17歳の若者に舞い降りた。


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「フレデリック・ニコラス・ラボンディが死んだ。16号線でトレーラーと正面衝突だ」
 横浜時代の古い友人は電話口で声を震わせた。1975年から1977年までの2年間、フレデリック・ニコラス・ラボンディはFENのDJをやっていて、私は彼の熱烈なファンだった。ファン・レターを書いたことすらある。フレデリック・ニコラス・ラボンディの名前を聞くと1975年の夏を思いだす。そして、彼の声がよみがえってくる。
 1975年に横浜とその周辺に暮らす17歳の若者がラジオを聴くとしたら、それはまちがいなくFEN、極東放送だった。少なくとも私の場合はそうだ。ニッポン放送でも文化放送でもラジオ関東でもFM東京でもなく、FENを聴くのはとてもクールなことのように思えた。「This is the Far East Network, an affiliate of the Armed Forces Radio Service.」のアナウンスを耳にすると胸が高鳴った。鷲は米軍横田基地を飛び立ち、17歳の若者に舞い降りた。周波数AM 810kHz。 出力50kW。 "Eagle 810"。

americanfense00.jpg

 当時、FENから聴こえてきたDJの声はすべておぼえている。声の主がだれなのか正確に名前をあげることだってできる。夜明け頃はモリアーティとパラダイスを名乗る二人組、朝食の頃にはショーティー・ウィリアムス、昼近くになるとブルース・オサリバンに交代して午後の半ばまで。そのあとはジミー・オブライエンが夕食の頃までで、ハワード・Jが夜の11時ころまで。ニュースやら天気予報やらのあと、明け方近くまでがフレデリック・ニコラス・ラボンディだった。彼らの仕事は重要なものではなかった。名誉ある仕事でも歴史に名を残す仕事でもなかった。しかし、彼らの「声」は17歳の若者の人生を代弁していた。彼らは17歳の若者にとってかけがえのない存在だった。馬鹿な冗談を言い、意味もないおしゃべりをしてはジグソーやKC&サンシャイン・バンドやイーグルスやドゥービー・ブラザースの曲をかけた。あの夏に17歳の少年たちはたくさんの人々に出会い、いろいろな場所に行ったけれども、それらに負けず劣らずFEN局のDJたちのおしゃべりや冗談や彼らが聴かせてくれた音楽はたいせつな思い出となった。FEN局のDJたちにしてみれば狭くて息苦しいスタジオでもうもうとしたタバコの煙にまみれながら何時間もすごすのはけっしていい気分のものではなかったろう。しかし、そんなことは考えてもみなかった。「17歳の夏」という特別なときを勝手気ままにすごしていただけだ。彼らの声は当時の横浜の若者たちが抱える「気分」の一端を代弁していた。本牧や根岸台の「フェンスの向こう側のアメリカ」と同様、世界へと連なる明るいリアリティを持っていた。
 フレデリック・ニコラス・ラボンディは死んだ。17歳の少年もみんな年を取った。時代はもはや1975年ではない。20世紀ですらなくなってしまった。21世紀は12年も過ぎた。1975年から2012年のあいだに高度資本主義の網は世界中をがんじがらめにした。言葉と声と音楽は失われ、いまや虫の息だ。いつ果てるとも知れぬ0と1の空虚なダンスが世界中でステップを踏んでいる。それでも、17歳の夏にFENから聴こえてきた『スカイ・ハイ』や『ラヴィング・ユー』や『ザッツ・ザ・ウェイ』や『呪われた夜』はいまでもいくぶんか私を勇気づけないこともない。

 Stay Tune! This is Eagle 810. This is the Far East Network, an affiliate of the Armed Forces Radio Service.

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