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ハルキゴンチチ・デイズ#8 犬どもの家、犬どもの死ぬには手頃な日

 

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 私と苦悩するビーバー・カモノハシと青い珊瑚礁の早起きブルーバード、三匹の犬どもがそろって死んだ日のことだ。

 われわれは小港橋の脇にある木造モルタル造りのおんぼろアパートに部屋を借りた。6畳一間。風呂なし。台所トイレ共用。敷金礼金前家賃なし。電気ガス水道電話賃食費などの費用はすべて三等分。女人禁制。われわれはその部屋を「犬どもの家」と命名した。数少ないいい点は窓から港が見えることと霧笛が聴こえること、そして、隣りの部屋に目の玉が飛び出そうなほどの美人が住んでいることだった。ジニー・イヴだ。しかし、美人のジニー・イヴにわれわれ三匹の犬は殺された。殺戮された。完全なるノックアウト。再起不能。永遠のテンカウント。三人いっしょに小港橋から身投げすることまで考えた。

「おれは本当の、正真正銘、混じりっけなしのインディアンに会いたい。ラコタ・スー、パヤブヤ族の戦士、タ・シュンカワカン・ウィトコのような勇者に。あるいは耳のうしろに不思議な力を持つ石を挟む男のような深い知恵と広い心を持った賢者に。そして、おれはいつかインディアンになる。トパンガ・ケイヨンロードを時速200マイルでぶっ飛ばす!ホカ・ヘイ! ヤタ・ヘイ! アヒェヒェ!だ!」
 苦悩するビーバー・カモノハシはテーブルの上で「戦いの踊り」を始めたが、動きは時計仕掛けのオランジーナの空き瓶のように間が抜けていた。
「けっこうな話だが、われわれがいま直面している問題はジニー・イヴ爆弾の炸裂で受けた深傷をいかに治療するかということだろう」
 私が言うと二人とも大きくうなずいた。
「おれの脳味噌はもうジニー・イブのことでいっぱいで破裂しそうだ。わがレーゾンデートルは勃起しっぱなしだし」
 青い珊瑚礁の早起きブルーバードは言って、紡錘型に大きく盛り上がったレーゾンデートル・テントをぴしゃりと叩いた。それは私もおなじだった。ジニー・イブのことを考えると、わがレーゾンデートルは固く張りつめ、タートル・ヘッドが擦れて痛いほどだった。結局、われわれはジニー・イブのことを考えながらマスターベーションを始め、ほぼ同時に射精し、死んだ。犬どもの家における三匹の犬どもの死だ。そして、ジニー・イブがやってきた。三匹の犬どもが死ぬには手頃な日はまだ終わっていなかったのである。
 アボリジニが酷寒のミル・プラトーの夜に三匹の犬と添い寝することすら知らないわれわれは、漂流するオウムガイのように愚かだった。(Closed BooK)




     
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