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うつむきかげんのショータイム#005

 

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 ガジンという男がいる。別府雅人。言説者。作家。吾輩より2歳若輩。大顔だが男前だ。身長は180cmほど。知の反射神経は及第点。大脳辺縁系ならびに大脳新皮質の性能は42点満点で36点。縄師。蝋燭師。スパンカー。偶然にも吾輩が「牧歌的時代」を過ごした横浜出身。
 ガジンは吾輩に『意志の中心がメタル。』と『鎮魂のイストワール』というふたつのすぐれたテクスト、世界、世界観をもたらした。20年ほども前のことだ。「こいつはモノになる」と思った。
 問題は「不良経験」がないことである。「経験」と呼びうるようなものをほとんど経験していないにもかかわらず「経験」を信じていないところが難点だ。
 1999年、吾輩とガジンの「友情」「関係性」は吾輩の放埒放蕩暴虐の日々を主たる要因として終焉を迎えた。吾輩とガジンのパイプは完全に遮断された。
 その後、吾輩は「放埒放蕩暴虐」にさらに磨きをかけ、凄味をつけ加え、ガジンは中国に関する「いい仕事」をした。吾輩はガジンの仕事ぶりをやや斜に構えながらも静かに計測した。そのうち、ガジンは「太宰治文学賞」の最終選考に残った。どのような経緯、理由があれ、どのようなかたちであれ、太宰治などというポンコツボンクラヘッポコスカタンにコミットメントした時点で吾輩の評価はうなぎ下がりである。ゼロどころではない。マイナスである。吾輩はガジンに関する「興味」を急速に失っていった。
 そして、つい先頃、ガジンはインターネット上で吾輩の「呪縛」の網に迷い込んできた。「訣別」から14年が経っていた。ガジンは「精神分裂病」という名の世界の住人になっていた。精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準による精神障害1級保持者。埴谷雄高式癲狂院閉鎖病棟経験2回。2回のうち、初回の期間は2年に及んだ。吾輩はその事態を「新しい世界観の獲得」と解釈した。カッコーの巣の上でガジンがどのように世界を俯瞰し、いかなる歌を歌ったのか。ガジンのルイスウェイン・キャットはいかなる変容と変貌を遂げたのか。そして、その「魔の山」でガジンが経験した酷寒のミル・プラトーはガジンの精神構造にどのような変化をもたらしたのか。吾輩のガジンに対する興味は訣別前よりも強度を増して回復した。
「精神分裂病」「統合失調症」は病いでも障害でもないというのが吾輩の考えだ。それらは、権力構造によって押しつけられた「根拠薄弱の病名」にすぎない。そもそも、「病名」「病いの名前」などにはなんらの意味も価値もない。そのことの意味がわからぬ者はJ.M. フコの『狂気の歴史』と『監獄の誕生』を百遍でも二百遍でも読むがいい。
 吾輩はこれから数日、『スカンク・ボブのエクソダス』と名づけられたガジンの「死に至る病い」の記録、「眠られぬ夜のため」に記された魂の記録、第二のルイス・ウェインとしてのアウトサイダー・リタラリー、「精神分裂病」という名の「経験」を獲得した「もうひとつの『路上』」を解読するための作業に集中する。この作業は吾輩の「放埒放蕩暴虐の日々」と現在との切断面を解読する作業ともなる。「経験」などなにひとつ信じるに値しないが、なにがしかの「強度」を獲得するための契機とはなりうる。そうでなければ生きつづける意味などない。

*下記にガジンとの直近のやりとりを附記する。いくぶんかの参考にはなるはずだ。

「あの頃」と「今」ガジン 2013-05-18 09:58
 オレは今、ある種の混乱の裡にある。色んな妄想に捉えられている。そこにヘンチクな幻覚が絡む。統合失調症という病名は大嫌いなので使わない。分裂病の症状である。医者は休養入院を勧める。外界からの情報を一時遮断せよ、と。一理あるがオレは素直に言うことを聞かない。オレは精神医学を信じていない。
 くたばっても構わない。オレはオレの自動書記によって「本当の答え」を出したい。それしか自分を癒す手段はなかろうと思う。病院のベッドとか向精神薬とかは単なる対処療法(「対症療法」の誤記。筆者)であり、一時の逃げ場に過ぎない。
 オレにとって「あの頃」と「今」は地続きなんだ。自分を更新するために、オレは「あの頃」を切断しなければならない。その手段は書くことしかない。「あの頃」の持つ意味をフィクショナルに再構成することによって「あの頃」から自由になること。
 生きるとは、不断に自分を更新していくことだ。あんたの言うとおり、変化しない人間、変化を恐れる人間は、本当の意味で生きているとは言えない。「今」のあんたと「あの頃」のあんたの切断面を、オレはこのブログで見せてもらった。オレもまた、見せるべきだろう。
「いたち野郎」の第一稿の途中経過をブログにアップしておいた。これで3/5ぐらいだ。
http://ekr48ofc.blog.fc2.com/
 3日で削除する。よかったら感想を聞かせてほしい。どんな感想でも構わない。入院するかどうかも、物語の先を続けるかどうかも、それを見てから決めようと思う。


 吾輩は「世界秩序」を希求するが信じない。 自由放埒軒 2013-05-18 13:47
 委細は承知した。吾輩の辛辣悪辣な「慧眼」「心眼」「批評精神」にガジンのテクスト、「地続きの時間」「"あの頃"と"今"の切断面」がどこまで耐えうるか、じっくりイングリモングリモーグリに計測する。以下に「あらかじめ失われたアノニマス・ガーデンにおけるあらかじめ死んだ庭師によるあらかじめ存在しない時間」たる吾輩の「切断面」の切口の一端を記す。
 吾輩は「世界秩序」を信じない。強く希求するが一切信じない。吾輩は世界を信じない。時間を信じない。人間を信じない。「絆」を信じない。なぜなら、それらは救いようもなく愚かでのろまで腐っているからだ。
 吾輩は世界はさらに微分され、粉砕され、粉砕されつくすべきであると考えている。吾輩はあらゆる統合、積分、調和を憎む。微分されつくしておらず、粉砕されつくしていないにもかかわらず、「甘っちょろい親和欲求」に基づいて統合、積分、調和を目指したところで、事態はさらによくない地点に行き着くことは歴史が証明している。まだ足りない。木っ端微塵になっていない。堕落しきっていない。「堕ちるところまで堕ちよ」と吾輩は叫ぶ。堕ちるところまで堕ちた先に揺らぐことなき「統合」「積分」「調和」はやっと貌をみせる。これが吾輩の基本軸Xだ。
 吾輩の基本軸Yは「諦め」「諦念」だ。世界を成り立たせているもののほとんどは愚かで腐臭を放っていて姑息で臆病で冷酷冷淡である。例外はひと握りどころかゴビ砂漠でみつけた針の先に乗る砂粒の上の量子ていどである。数人の言説者、表現者たちの数行、数枚、数音によって吾輩は生き延び、それらは「新たなる地平を目指すための拠点」となった。ガジンの『意志の中心がメタル。』と『鎮魂のイストワール』もそのうちのひとつだ。身近、直近では森博敬というヴィジュアル表現者が吾輩の魂に杭を打ち込んでいる。
 吾輩の基本軸Zは「快楽への意思」だ。「快楽」は吾輩を突き動かす。「快楽への希求」に翻弄されていた時期はとうに過ぎ、吾輩はいま「快楽」を支配下に置くことにほぼ成功した。女の「腰つき」にもびくともしない。
 吾輩の基本軸Ωについては『スカンク・ボブのエクソダス』についてのトランス・トラジッチ・クリティークの中で述べられる。吾輩の基本軸αはその記述の中で発見される。


 厚情、痛み入る ガジン 2013-05-18 13:59
 あんたの辛辣な批評精神にさらされるのは望むところさ。
「おまえには吾輩をグリップする才能がない、やめておけ」でも、 「こんなものしか書けないのか、くたばれ」でも、なんでもいい。さすればオレも、何の未練もなくこの仕事を放擲できようというもの。待っている。




     
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