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『Amazing Grace』という奇蹟/別れゆく朝のために

 
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『Amazing Grace』はずっと昔から好きな楽曲だったが、真の意味でその「癒す力」を実感したのは9.11後のグラウンド・ゼロで行われたセレモニーの折り、ニューヨーク・バグパイプ・バンドによって『Amazing Grace』が演奏されるのを目撃したときだった。

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 よく知られているとおり、『Amazing Grace』は奴隷商人の男がみずからの半生を悔い、絶望と悲しみと恐怖のうちに死んでいった者たちへの鎮魂として誕生した讃美歌である。祖国を追われるようにして新世界にやってきたピルグリム・ファーザーズの苦闘と数々の過ち、独立戦争から奴隷制の深い闇を経て近代国家建設のための産みの苦しみ中で身悶え、のたうち回るアメリカの沸騰する蒸気機関のような社会が『Amazing Grace』を産んだと考えてよい。

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 アメリカ社会はホワイトとカラードという分け方で理解されてきたが、事はそう単純ではない。ホワイトの中にもめまいをおぼえるほどの格差、クラースがある。いわゆる「WASP」に属さないイタリア系、アイルランド系、ユダヤ系等々の人々は陰に陽に数々の差別と弾圧を受けてきている。「9.11」という人類史の転換点ともなるような強烈な事態に直面して、初めてアメリカはWASPであるか否か、白人であるか有色人種であるかを問わずに現実と向きあわざるをえない経験をしたというのが吾輩の考えだ。そして、そのときに傷つき、苦しみ、悲しむ彼らの魂を癒したのが『Amazing Grace』だったろう。「素晴らしき神の恩寵」が果たしてアメリカ社会だけでなく、人種、民族、宗教を超え、生きとし生けるもののすべてを包みこむことができるか否かをこの両の眼で目撃するのはとうていかなうまいが、それでも、『Amazing Grace』にはあらゆる世界、あらゆる時代に無数にある死や悲劇や飢餓や困難困憊の一端を癒す役割を担ってもらいたいと、別れゆく朝をあと数時間後にひかえ、強く思うものである。

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 旧い年と別れゆき、出会う新しい年が健やかな1年であることを祈ります。




     
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