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Night Dreamer#1 夜を紡ぐひと

   夜を紡ぐ者は命を削る。E-M-M夜泳ぐようになってから19年になる。日本にインターネットが普及しはじめた年と期を同じくしている。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけとして意識して身体を鍛えるようになったことも少なからず影響している。わたくしは夜泳ぐ。日中は記憶の海の底で眠っている。眠っているあいだ、黄色い道路清掃車が巨大なレモンに変身したり、ヤクルト・ママがレトルト・マーボーと決闘したり、年老いたミ...

Bitches Brew ── アコースティック・ギター婆ずれ女どもの肖像と憂鬱と成熟と喪失

  シニフィエ/シニフィアンが支配する贖罪の午後だった。芽を毟られた無数のハナミズキ。撃ち殺され、あとはただ屠られるのを待つ犢の屍体。沈黙を破ろうと口を開きかけるが黒光りする頑丈な鉄の猿轡で口を封じられ徒労に疲れ果てた仔羊たち。甘く濃密な香りを発するマグノリアに吊るされた奇妙な果実。くうと腹が鳴る。「『Bitches Brew』は神話、神々の物語よ。神様たちが歌ったり踊ったりで騒々しいくらい」とアコースティッ...

ハナちゃんはジョン・ルイスを探して ── ハナちゃんの脚線美をめぐる三都物語

   脚は常に発情し、挑発し、誘惑する。E-M-Mジャンルー・シーフの『誘う脚』に出てくるような魅惑の脚線美を持つハナちゃんは、いつも楽しそうではあるけれども悲しげにT-SQUAREの『TRUTH』のメロディーを口ずさんでいる。「音速の貴公子が春のイモラ・サーキットのタンブレロ・コーナーの悪意に満ちたコンクリート・ウォールに激突して死んでから、世界は色も匂いもない、ただ退屈なだけの鳥籠同然よ。チャーリー・パーカーが...

It's Easy to Remember, But So Hard to Forget

  思いだすのは簡単だけど、忘れるのはとてもむずかしい。L-H"It's Easy to Remember (And So Hard to Forget)" 1935作詞: Lorenz Hart/ロレンツ・ハート作曲: Richard Rodgers/リチャード・ロジャースYour sweet expression, the smile you gave meThe way you looked when we metIt's easy to remember, but so hard to forget君が見せてくれたやさしい微笑み出会ったときの君の眼差し思いだすのは簡単だけど、忘れるのはとて...

百年の孤独を死んだガルシア=マルケスを悼み、『マタイ受難曲』を聴く

  緑の家の居間でマジック・マッシュルームをポワレしながら、百年の孤独の王の死の意味を思いながら無聊を託つ。これでまた世界は豊饒なる魂をひとつ失った。ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケス。ある時期、わたくしにとって百年の孤独の王/迷宮の将軍は緑の家の家主であるバルガス・リョサとともに世界をヴァガボンドするための羅針盤であり、里程標だった。退屈で辛気くさい世界と対峙するのに「マジック・リアリズム」く...

虹のピンチョン ── 忌々しい外縁飼育あるいはケマンソウもしくは社会的弱者に尋常ならざる同情を寄せる人々

   虹は美しい。ディセントラ・スペクタビリスの1024倍美しい。特に重力の虹は。そのことについてなにひとつ異論はない。問題は虹のピンチョンの前歯だ。酒と肉汁と数式にまみれたアル中番長ハミルトンのアナロジーを解読することで幾分かは正しいもの、誤謬にまみれたもの、判定不能なものを除去できる。アルベルト・アインシュタインとエルヴィン・シュレーディンガーの倫ならぬ恋の鞘当てを見かねた箱猫の逐電以降、われわれ...

水の眼#1

   昨夜、ホルヘ・"ランデヴー"・ダルトの紹介で知り合った国際オルホ・ダグア協会広報部のマルルイ・ミランダ女史から筋のいい「水の眼」がみつかった旨のメールがあった。メールにはJPGファイルで2GBにも及ぶ膨大な数の画像ファイルが添付されていて、見れば、なるほどこれまでにお目にかかったことのない素晴らしい水の眼だ。メールの最後には是非とも近日中に直接現地で会いたいとの一文があった。そして、「筋のいい水の眼...

ピアソラとジョビンとヴィニシウスのマリア・クレウーザをめぐる密談と密約#1

  Je t'embrassais tu m'embrassais je m'embrassais Tu t'embrassais sans bien savoir qui nous étions P-Éきのうの昼過ぎのことだ。1970年、ブエノスアイレスのナイトクラブ『ラ・フーサ』でマリア・クレウーザが歌うアントニオ・カルロス・ジョビンとヴィニシウス・ヂ・モライスの『Eu sei que vo te amar/あなたを愛してしまいそう』があまりにも心地よくエリュアールなので、トッキーニョのギターラめがけて高カロリー低栄...

ニコレット・ラーソン『お月様とわたし』── 静かな時間のための静かな歌

   1997年12月16日、クリスマスを目前にニコレット・ラーソンは逝った。愛娘エルジー・ メイを残して。ニコレット・ラーソンの遺作となった『Sleep, Baby, Sleep - Quiet Songs for Quiet Times』を聴きながら、窓の外を見やり、雨粒を数え、散りゆく桜の花びらを数える。散る桜。残る桜も散る桜。咲く花もあり。盛る花もあり。散る花もあり。『Sleep, Baby, Sleep』は心のこもったいい作品だ。全体としては子守唄集の体裁をと...

星空を綴じるアルバム

   南米ボリビアのウユニ湖(ウユニ塩原)/Salar de Uyuni (or Salar de Tunupa)。標高約3700m。塩の大地は1万582平方キロメートルにもおよび、雨季には水面が空を鏡のように反射して映しだす。まさに、地上と天空の邂逅。「昼は全部、青空。夜は全部、星空。」というキセキ。プロフェッサーC.L=S.の言うとおり、「世界は人間なしに始まり、人間なしに終わる」としても、J.M.F.の予言どおり、人間が寄せ返す波に掻き消されてしま...

童神(Warabi-Gami) 暑き夏の日は涼風を送り、寒き冬くればこの胸に抱いて。

   新宿の厚生年金会館大ホールで古謝美佐子の『童神』を聴いてから16年になる。以来、きょうまで聴きついできた。心さびしいとき、うれしいとき、つらいとき、苦しいとき。折りにふれ、古謝美佐子の歌う『童神』を聴いた。泣き、ニコニコし、ぽかぽかした。これからもそれは変わるまい。時代やら世代やらを超えて歌い継がれ、聴き継がれ、語り継がれてほしいものだ。童神 (わらびがみ/Warabi-Gami) ~天の子守歌古謝美佐子作詞...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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