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フリフリ#1

   人間が理解していることなど世界や宇宙のほんの一部にすぎない。本物の世界や宇宙というのは人類の科学の理解力をはるかに超えている。 NIJI-QUO 薔薇の名前がどれほど美しく、香りがいくら馨しかろうと腹は満たされない。『バベルの図書館』が金輪際、人間の知性を満たさないように。 E.M.M.(VERY-LLIUM-BERRY/A-N-4) 数分で語りつくせるようなアイデアを500ページにもわたって展開するのは労多くして功少なき狂気の沙汰...

マドレーヌ現象型ハッブル宇宙望遠鏡がもたらした「青の時代」

  今夜、ディラックの海の青いほとりでハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙の生々しい姿はわれわれの「宇宙観」「世界認識」「知のありよう」を劇的に根本的に変えた。それまで闇の中に薄ぼんやりとした姿で浮かんでいた銀河、宇宙はハッブル宇宙望遠鏡の登場によって、ある日突然毛穴のひとつひとつ、皮膚の肌理までをありありとわれわれの前に提示されることとなった。オリオン座にある暗黒星雲の馬頭星雲が「馬頭」などという大...

ボッテガ・ヴェネタの女#2

  「あなたはこの2年半で体重が7キロも増えた。虫歯は2本。浮気は7回。警察沙汰は4回よ」「上出来の2年半、まさに『素晴らしき哉、人生!』、『It's a Wonderful Life!』じゃないか! 文句のつけようのない日々だ」「はあ? 勘弁してよ。わたしがこの2年半のあいだに何度首を吊ろうとしたかわかってるの?」「首吊りはよろしくないね。まったくよろしくない。死ぬなら薬物がいい。速効必殺の薬物が。そうだな。青酸系のものがい...

メメント・モリ! 死を思え。「死」もまた「生」の一部なのだ。

   懇意にしていただいているSさんの奥さまが亡くなった。三年におよぶ癌との闘いを経て。葬儀は玉川上水を見下ろすマンションの一室でひっそりと行われた。近しい人だけが集まり、亡くなった奥さまを偲んだ。それは葬儀というよりも「お別れ会」といったような慈しみにあふれた集まりだった。ひとかけらの宗教色もなく、透明感にみちていた。 亡骸の枕元には奥さまが好きだったというかすみ草がひと抱え飾られ、タンノイのス...

海に落ちる滝が見える季節はずれの二人きりのビア・ガーデン

  「またヒトデか」と思った。「男は黙ってサッポロ・ビール。脚線美の誘惑仕込みだけど打ち水にレインボウ」な時代をともに戦った戦友のヒトデではあったが、「彼のパパは東へ行けと言った」とヒトデが言った途端にわれわれの友情は終わりを告げた。そのことについて東八郎風に記す。「鳴ってなんぼなんですよ、世界は」とヒトデが言ったとき、吾輩は痛風発作の予兆を嗅ぎ取り、コルヒチンに手を伸ばした。コルヒチンの奴めがち...

ボッテガ・ヴェネタの女#1

  「あなた、これを読んで人生について考えなおしなさいよ」 そう言って彼女はボッテガ・ヴェネタの黒い編み込みトートバッグから『エミリーへの手紙』を取り出した。表紙や小口の傷みぐあいでかなり読みこんでいることがうかがえた。私は何年も前に『エミリーへの手紙』を読んでいたが、そのことは口に出さずに感謝の微笑を添えて受け取った。しかし、少なくとも私の世界においてはボッテガ・ヴェネタの黒い編み込みトートバッ...

暗躍海星の逆襲

   暗躍海星の妻のカズノコは突然、狂ったように舌を差し入れてきた。アップルのシネマディスプレイからキングギドラの右から3番目のやつのような動きで現れたカズノコの舌はうす桃色で、表面にぶつぶつした突起物がびっしりと生えていた。私はブルックナーの交響曲第2番第3楽章に心を奪われていて、彼女のねっとりつぶつぶした舌が差し入れられたことに気づくのにしばらくかかった。「ヒトデの仲間の世界をひらきたいんです」...

追悼・村上春樹 詳細を知らない芽崎カエルと、彼の巡洋の都市#2

  「ところで、あなたは尾長鶏になってなにがしたいわけですか?」「朝を告げたいんですよ、朝を。世界に向けて。遠い夜明けがついに明けたぞって」「どうやって?」「尾長鶏になるとですね、僕のときの声は世界中に、世界の果てまでにも届くくらい大きくて鋭くなるんです。調子のいいときは冥王星の戸籍係の引出しの隅にまでだって届く」「そいつはすごいな」「でしょう?」「あなたが私の耳元でときの声をあげたらどうなっちゃ...

あるギター弾きの死と再生

   またひとり、死んでいた。Michael Hedges/マイケル・ヘッジス。ギタリスト。超絶技巧のスーパー・ギタリスト。1997年12月2日。交通事故死。享年43歳。  再度、言う。またひとり死んでいた。20年も前に死んでいた者さえいる。死んでいたのは、いずれもある時期の吾輩のアイドルたちである。消えてなくなればいい奴が大手をふって生きのび、生きていなければならない者が死ぬ。ふざけた世界だ。なぜ彼らの死に気づかなかった...

ロストロポーヴィチの春、夜明けの口笛吹きの狂気

   夜明けの口笛吹きの狂気はいつ原始の母に癒されるのか?吾輩の世界の天井の朝、一日の始まり昨夜、おそろしくひさしぶりにピンク・フロイドをじっくりと聴いた。正確には高校1年の春に聴いて以来である。夜ふけに聴きはじめ、最後に12回目の『The Great Gig in The Sky』を聴きおえ、コンピュータをシャットダウンしたのが午前5時12分。夜明けちかくだった。ベランダに出て、口笛を吹いた。夜明けの口笛吹きだ。口笛を吹き終...

追悼・村上春樹 詳細を知らない芽崎カエルと、彼の巡洋の都市#1

  「はっきり言って、僕は詳しいことはなにも知らないんだ。『風の歌』のことも1973年のピンボール・マシンのこともジェイという中国人のことも林の中で揺れている直子さんのこともね」と芽崎カエルはうんざりしたように言った。「知らないのはそれだけ?」 私は芽崎カエルの逃げ場をなくし、獲物のスウィフトギツネを追いつめるイギリス貴族になった気分で言った。「ほかにもたくさんありますよ、僕が知らないことは。羊博士の...

MEDLERの木箱とフシギの地下室#1

   MEDLERの木箱はCLOSED SHOPを見下ろす小高い丘の頂上にある。私がMEDLERの木箱の存在を知ったのはCLOSED SHOPの永久無欠名無しの店主であり、宇宙獣蒐集家としても知られる森蔵書郎翁を通じて世界遺産文明製品の世界的企業であるMEDLER社から古代オリエント世界に関する調査報告書作成の依頼を受けたのがそもそもの始まりだった。 MEDLERの木箱にはヴォイニッチ手稿42ページ下段右の「図像ナンバー42」と寸分たがわない蔦が...

Foo Fou Fool/My Foolish Heart@Love Sick

  「時間薬」が効かない失われし恋の病もある。恋の数だけある。星の数ほどある。「時間薬」が効かない失われし恋の病に罹患した男1あの日突然別れを告げてから忘れられずにいるよ俺はまだ理由なんてあってないようなもんどうして? 神様もう少し一緒にいたかった君と聴いてた思い出の音楽 街で流れてるとつい思い出すああ君がつけてたフレグランス どことなく香ればまわりを見渡す今はどこでなにをしてるんだろう? 今はちゃん...

四月の魚=SELFISHのポワレのレアリアータ・ドクダミネーゼ添え

    蕺草。ドクダミ。生で食す。クッチーナ・イタリアーナにアレンジしてマンジャーレする。そののちに待ち受けているのはドカノーチェ・ライフ、土管暮らし、土管生活だ。ドカノーチェ・ライフ、土管暮らし、土管生活にはいくばくかの「根性」がいる。根性焼きを42平方センチに42個誂える程度の根性が。熱い。青臭い。アホ臭い。連日連夜、朝から晩まで「ありがとう」のオンパレードをぶちかます鈍感さと胡散臭さと鈍くささと...

なにごとかから卒業する世界中のすべての「きみ」へ

   J.P.サルトルは『存在と無』の中で感受性や思考がステレオタイプの人間を「くそまじめな精神」とそやし、もっとも軽蔑唾棄した。「くそまじめな精神」は自己や他者の本質のあらゆることどもを引きずりだそうとする。Aは「信用のおける男」だから信じていい、Bは「卑劣な男」だから付き合ってはならない、Cは「軽薄な男」だから用心しなければならない、という具合だ。 一人の人間があるときある行為をすることについての仕...

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プロフィール

自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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