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シュールストレミングのシュールな夜#2 爆発5秒前。

  爆発5秒前。 いまでもときどきシュールストレミングのにおいが鼻先をかすめる。特に恥知らずな輩が近くにいるときと近い将来に恥知らずと遭遇するときだ。シュールストレミングと恥知らずはスーパー・エゴの領域で繋がっているんだろう。シュールストレミングは吾輩にとっては「恥知らず注意報」の役割りを担っているのだとも言える。「幸せを探す」だか「わたしだけ幸せ」だかが口ぐせの重度の「恥知らず病患者」につきまと...

シュールストレミングのシュールな夜#1

  忘れもしない。1990年12月24日、クリスマス・イヴのことだった。泡の祭りでひと山当てた成り上がりどもの集まり。 食通を自認する地上げ屋のFが言った。「ものすごいチーズがある。エピキュアという悪魔がね。いま、うちの冷蔵庫に入っている」 いまは安売り王としてふんぞり返っている風車を巨人と勘ちがいした突撃ロバ男が言った。「エピキュアなんぞかわいいもんだ。カオリフェより臭い食いものはこの世にない」 それま...

CAFÉ BLEU

BLUE MONDAY No.2814, BLUE NOTE 4163, BLUE 7 DAYS  すでに2813回も月曜日を迎えているというのに、いまだに月曜日は憂鬱だ。たとえ休日、休暇であってもだ。BLUE MONDAY. 憂鬱な月曜日。BLACK MONDAY一歩手前。暗黒の月曜日まであと半歩。日曜の夕方くらいから気分が滅入るのを「サザエさん症候群」というらしいが、吾輩はもっとはやく、土曜日が終わる頃くらいから気分が落ち込みはじめる。「日曜日が終わればいやな月曜日だ...

キセキの現場/沖縄県那覇市波布食堂の「肉そば」

  キセキ盛り。だれに気兼ねすることもなくそう呼びたいと思う。その「キセキっぷり」は沖縄の青空のように突き抜けていた。あるいは天までも届くほどに。「バカ盛り」は日本中、世界中にいくらでもあるが、波布食堂の肉そばまごうかたなき「キセキのしるし」を体現している。よって、キセキ盛り。三日分の野菜と三日分の麺。野菜炒めの巨峰をいくらほじくり返しても麺が現れない。波布食堂の食いものを数えるときは「一座、二座...

TOKYO SHADOW・六本木の呪法と変容

 木村拓哉は六本木のGIジョーだった!六本木交差点そば、芋洗い坂のマフィア入会受付所廃屋と化したかつての名店・支那そば 大八。六本木7丁目、旧防衛庁(現東京ミッドタウン)と外苑東通りを挟んで向かいの路地に風は蕭条と吹いていた。六本木の虚実を映したヴィジョン「閉店します」六本木探索の休息所・乃木坂 CAFE GRECO去る者あれば来る者あり、メルセデス。 ...

TOKYO SHADOW・「残像」としての東京#01

  都市は記号で満ちている。R.B. 東京歩行はロマネ・コンティ誕生の秘密を知ることをも可能にする。E.M.M. 土曜は「歩行と貝殻の日」と決めてある。夜明けとともに歩行開始。歩行する貝殻となって吾輩はひたすら歩く。歩き、観察し、計測し、思考し、立ち止まり、また歩き、さらに観察し、計測し、思考する。本日はお台場・潮風公園から晴海通りを経て、銀座、新橋をやりすごし、虎ノ門、芝公園、六本木、神宮外苑、最後は神宮...

海賊の花嫁

  STINGの『The Pirate's Bride』が葬送の調べのかわりに流れる夜ふけの港を、海賊の骸を乗せた幻影の帆船が世界の果てに向けて滑るように遠ざかっていく。漆黒の帆が風を孕み、幻影の帆船は速度を増す。岸壁に一人残された海賊の花嫁は埠頭を渡ってきた風に身を任せている。波の音も風の音もない。あるのは深い沈黙だけだ。 美しいものを見たければ目をつぶれ。 語りつくせぬことについては沈黙せよ。 海賊の言葉が海賊の花...

虹のコヨーテ#2

  耳のうしろに不思議な力を持つ石を挟む男と青空の月と緑色のターコイズ ホピの長老「耳のうしろに不思議な力を持つ石を挟む男」は赤茶けた岩に座ってしきりにいくつも渦巻き模様のある巨大なグリーン・ターコイズをこすりながら言った。「おまえがいったい何者なのか、生まれてから今まで何をしてきたのかに興味はない。興味があるのは、おまえがわたしと”炎の中心”に立って尻込みしない男かどうかだけだ」 私は言葉もなかっ...

「πな気分のパイ」を作りながら踊る虹子ちゃんに言う言葉

  3月14日15時9分26秒まではまだずいぶん日があるというのに、待ちきれず、我慢できず、居ても立ってもいられない、「割り切れない思い」をずっと抱えつづけながら生きてきたギフテッド・ガールの虹子ちゃん。「πな気分のパイ」を作りながら踊る虹子ちゃんに吾輩が言う言葉は七つ。茄子だ!ナスカ!NASCAR!NASAも?NASHIは?支那竹?竹島! ...

神宮前でワイン・ヴァン・ヴィーノにダイヴ

  神宮前3丁目。青山通りからキラー通り(外苑西通り)を300メートル・ド・テルほど来て左折、表参道へ抜ける道を入ってすぐに吾輩がワイン・ヴァン・ヴィーノにダイヴし、かわいいブレッド・パン・パーネにウィンクする場所がある。 Dive to Wine Jingu-Mae. 神宮前でワインにダイヴ。今のところは少数の好き者のみが知る隠れ家のごときスペースだ。吾輩はDive to Wine Jingu-Maeで哲学し、思想し、文学し、美術史し、音楽史し...

蜜『初恋かぷせる』/いくつもの夜をこえてもなお

  世界がこんなふうなやさしさとこんなふうな笑顔に満ちていればいい。小さなコビトの大きな世界と、そうでない世界にも。 今夜はウニに蜂蜜をかけて食べることにします。例のカプセルを添えて。 飯田にいい仕事が舞い込みますように。 ...

遠い夢からさめたジャンゴ

  今日はジャンゴ・ライハルトの誕生日だ。明け方からずっとMJQの『DJANGO』を聴いている。誕生日のお祝いと強弁してすべての予定をキャンセルし、安ワインを飲みながら。もう3本目が空いた。虹子も呆れ顔だ。たばこは夕べのうちに『Gitanes』を1カートン用意してある。iTunesにジャンゴの演奏音源のコンプリートを呼び出し、PLAY IT. これであとはムール貝をバケツ一杯ほども喰えばパーフェクトなジャンゴ・バースデーだ。世界...

ケルンの奇蹟・『The Köln Concert』啓示、巫女、導き

  キース・ジャレットの究極至高のパフォーマンス、『The Köln Concert』から38年が経つ。1975年1月24日。吾輩は16歳で、世界や人間を憎みはじめていて、西ドイツ(当時)・ケルン市の中心に位置するオペラ・ハウスの最前列から7番目、舞台に向かってやや左寄りのカビ臭い席に座っていた。左隣りの席では吾輩が世界で一番憎んでいる男、生物学上の父親がチャーリー・パーカーのアドリブのように途切れることのない貧乏揺すりをして...

夏への階梯#1 2000トンの雨が降れば

  七里ガ浜駐車場レフト・サイドで2000トンの雨に打たれるまであと177日と14時間43分 第2京浜をゆく。多摩川を越え、川崎を過ぎ、ルート16に乗り換え、ひたすら漕ぐ。 横浜のサウス・エリアをかすめ、横須賀へ。そして、三浦半島へ。三崎港では地魚に舌鼓を打つ。三浦半島のビーチ・サイドをトレースし、葉山、逗子の海岸線を左手に見ながら、海の輝きと潮の匂いに身をまかせる。極上のオフショア・タイムが、ただ過ぎてゆく。...

ボンベイ・サファイアの夜はふけて#1

  ボンベイ・サファイアを飲みすぎて酩酊し、ポンペイに行くつもりがムンバイに行ってしまい、いまではカルカッタで猟師の親方をしている男の話である。 男の名はタカノ・キリマンジャロ・ノブオ。1951年の春、パパ・ヘミングウェイに同行してハンティングに来ていたユダヤ人宝石商によってキリマンジャロ山の山頂近くでひろわれた。タカノ・キリマンジャロ・ノブオは生まれて間もない赤児だった。背中一面に飛翔する龍に似た痣...

ブガッティ・プレヌリュンヌ・ブカティーニ氏のアンドロジナス・デイズ #1

  泥棒かささぎ世界一のアンチ・ヴァーグナー足立荒川下町連合軍食堂、「ラ・ピエトラ・デル・パラゴーネ」の夜。 満月の斥力とクロワッサンの花王CIぶりとブカティーニ・ディ・シチリアーノ・シシリエンヌの間に横たわる相互作用とジャーマン・シェパードの忠節とロベール・カサドシュの弾くモーツァルトのピアノ協奏曲42番の凡庸と純粋理性の二律背反と「無謬完全なるアルデンテ」の困難を思いながらブガッティ・プレヌリュン...

東京幻食紀行 #2 凄味の利いた料理人

  5年におよぶ浅草時代、パウダー・ブルーのYETI KOKOPELLIで台東区内を走りまわった。愉快な日々だった。「明日」は見えていなかったが、「今日」と「現在」は手づかみで垢むけだった。2000年の夏の盛り、東上野(旧町名稲荷町)界隈をポタリングしているとき、凄腕の料理人と出会った。「中国料理 仙龍」のオーナー・シェフ、トーゴーさんである。正真正銘の、無垢の、真っ直ぐな天才料理人だ。おまけに吾輩に負けず劣らずの大酒...

あえて「メン殺し」の汚名を着て #2

  去年の秋に鬼籍入りした「壁の穴」の成松孝安が考案した和風パスタの先がけとも言える「たらこスパゲティ」の誕生にはベートーベンの第九とジョン・マルコビッチが関係している。というのは明太子なみに真っ赤なうそで、食通で知られる常連客のN響楽団員に「キャビアでスパゲティを作ってくれ」と頼まれたのがきっかけだった。件のN響楽団員はホルン奏者であったというから、大方、自分の食通ぶりを吹かしたかったのでもあるだ...

見上げてごらん夜の星を

   冬は星がきれいにみえる。空気が澄むからだ。空気が澄んで、冴えわたる夜空を見上げることは吾輩と吾輩の人生の同行者である虹子との欠かすことのできない冬のイベントである。 東向きの窓に秋のころよりも元気をうしなった月が物静かにでて、やがて夜空をめぐり、窓から消え去るまでの数時間、吾輩と虹子はソファに足をもたせかけ、大の字になって夜空を仰ぎみる。そして、iTunesのライブラリにある楽曲の中から、「星」「...

二度と取りもどすことのできないいくつかのこと

 Shooted by Maki Saegusa 2012年春。桜が散りはじめた日の昼下がりのことだった。ジョニー・ホッジス『Used To Be Duke』の6曲目、バラード・メドレーで『Autumn In New York』『Sweet Lorraine』につづいてインターバルなしで『Time On My Hands』が始まったときに電話が鳴った。「ごめんなさい・・・。」 電話口でなつかしい声がした。なつかしい声。裏切り、背いた者の声。いくつもの季節がすぎてゆくあいだ、ずっと聴きた...

ミント・ジュレップを一杯引っかけたあとにこそふさわしい話

  木登りに夢中になってアーキオプテクスの樹の上で震えながら途方に暮れている仔猫ちゃん ミントのできが悪かったからじゃない。寝不足が原因でもないし、門限を破ったからでもない。風邪気味だったのはいくぶんか影響しているかもしれない。でも、本当の理由はほかにある。そうとも。きみは木登りに夢中になりすぎたんだ。たぶん、きみはいざとなれば誰かが梯子をかけて助けにきてくれると思っていたんだろうけど、誰も助けて...

家族になろうよ/『家族』という物語

  福山雅治の『家族になろうよ』を初めて聴いた。虹子の iPod を盗み聞きしたのがきっかけだった。JUJUやらAIやらマットンヤ・ユミーンやらドリームズ・カム・トゥルーやらサザンオールスターズやらにまじって福山雅治の『家族になろうよ』があった。出だしの「100年経っても好きでいてね」でいきなりヤラレてしまった。福山の声がまたいい。実にいい声だ。福山雅治の存在は物理学者の役で難事件を解決するTVドラマを何度かみて...

ビートニク・ラヴ/あの恋を忘れない。

「かわいい女になって土曜の朝に死にたいの」と言い残して涙のアヴェニューで死んだ女とのごく短い恋の話    『涙のアベニュー』を聴きながら涙が枯れるまで泣いた夜のこと 2008年の春の盛り。とびきりの恋はひっそりと幕を開け、奇跡の愛は少し揺らいだ。秋の初め、とびきりの恋は儚くも幕を閉じ、奇跡の愛は温かくすこし哀しかった。この話はエリーと私と虹子の恋と愛の物語である。この物語に費やされた時間は半年にも満たな...

あえて「メン殺し」の汚名を着て #1

  思えば多くの麺どもを殺す人生だった。記憶に残る初めての麺は鍋焼きうどん。生物学上の父親に連れていかれた横浜マリンタワー近くの蕎麦屋で食べた。ちょうど今頃、小学校に上がる直前の真冬だった。 吾輩は見た目はこどもでも中身はすでにおとなだった。人間や世界を観察、計測することが生きているうえで数少ないたのしみのひとつだった。人間や世界についての「答え」らしきものもすでにみつけていた。すべてはばかばかし...

あんた/カスどもはすっこんでろよ。

 松がとれたそばからわけのわからぬポンコツ議論をふっかけてきたホスト名 dentsu.co.jp のボンクラ2名に捧ぐ。(おまいら、畔柳のお先棒でも担いでるのか? どう足掻こうがそれじゃあ元は取れねえぞ。元を取るどころか色々のことを棒に振っちまうぜ。畔柳が胴元じゃあな。その腹を括っているのなら正面突破でくるこった。プププ。)  「泣くな」といつかの吾輩。「無理だ」といつかの吾輩。「いい女はいるよな?」といつかの偉そ...

Rouge, Vert et Bleu#1 カルパッチョの女

 赤と緑と青が混ざりあうことによってすべての色は生まれる。ただし、赤と緑と青が均等に混合されて生まれるのは白、すなわち無である。    リュ・カンボンのオテル・ド・リッツの裏口の通りを挟んで向い側に新しくできた『Harry's Bar』の窓際の席にマダム・プレヌリュンヌは物憂げな表情を浮かべて座っていた。黒いストッキングに包まれてすらりと伸びた脚。マダム・プレヌリュンヌの脚はいつも挑発的だ。「テツ。あなたは...

空と海と大地が出会う場所のリングイーネ

  空飛ぶスパゲティ・マンマムート団との戦いのさなか、マダム・ジーナに入れあげた揚句に、あろうことかトロンボーン型の赤いカーティス・フラー号に便乗して最前線から戦線離脱したDE CECCO 7番弟子のスミジル・スミスが喰いそびれた物件【物件名】空と海と大地が出会う場所のリングイーネ(Linguine alle Vongole Porco Rosso Con Pomodoro Costoluto Fiorentino) キクラデス豚桃色遊戯42号(Cerdo Pata Negra改)のガラ・ディ...

グレン・グールドがアイルトン・セナに見えた日

  新しい年の始まりのお祭り騒ぎどんちゃん騒ぎにも飽きて、酒ぐれ酔いつぶれたスットコドッコイの客人どもを居間に残し、吾輩はわが穴蔵、「知の胎内」へと逃げ込んだ。そして、グレン・グールドの『ゴルトベルク変奏曲』の1955年盤と1981年盤を交互に聴きはじめた。1955年盤の「ARIA」のあとは1981年盤の「ARIA」、1955年盤の「VARIATION30」のあとは1981年盤の「VARIATION30」というふうに。このような聴き方はいまに始まった...

漂泊のカルティエ・パンテール #01

  趣味、サントス・デュモンの身辺警護。ブレッソンの四切り写真の収集。そして、世界に存在する食材のすべてを贖罪の証しとしてカルティエすること。 座右の銘、漂えど沈まず、悠々として急げ。  ...

世界の終わりとスキーター・デイヴィスの死

  スキーター・デイヴィスの死を知ったのは2008年、彼女が死んでから4年も経ってからだった。『The End of the World』を何年かぶりで聴いたついでに近況をググってみたら、彼女は2004年の秋に死んでいた。臨終の地はテネシー州ナッシュビル。72歳。乳癌。インターネットがもたらした死の知らせ。インターネットがなければ訪れなかった死の知らせ。 茫然とした。右の耳たぶが熱くなり、心臓がどきどきし、立ち上がれず、しばら...

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プロフィール

自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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