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冬のはじまりに考える「世界が孕むある種のやさしさ」

  不遇にある人々にその暖炉のぬくもりのひとかけらとそのあたたかい食事のひとすくいが届けばいい。 冬のニューヨークは厳しい。ニューヨークにおでましの冬将軍様の傍若無人ぶりは凄まじいの一語につきる。秋のニューヨークは死ぬまでに一度は経験しておくべき素晴らしさにあふれているが、「最高のシーズン」も長くはつづかず、駆け足で冬がやってくる。そのニューヨークから心あたたまる話が舞いこんできた。ニューヨーク市...

2B OR NOT 2B #1 柑橘系世界におけるある種の完全性

  吾輩は冬がこわい。恐怖と言ってよろしいと思う。冬将軍のやつに借りたまま返していない一般ピープー風の件と又三郎の風邪薬をくすねた件もさることながら、毎冬、吾輩はみかんをはじめとする柑橘系どもの食いすぎによる「黄疸症状」を呈するからである。吾輩はふだんは赤鬼のごとくに烈火の炎のごとくに赤い。ホピ族の盲目の長老が吾輩のあまりの赤さに驚いて炎の中心から飛び出したほどだ。浅草芸者の胡徳と豚八でめしを食っ...

MEMORIES OF YOU #1

  夏の思い出 あまりにも寒いのでずっと夏にまつわることを考えている。夏のにおい、夏の色、夏の音、夏の風景、そして、夏の思い出。『夏の思い出』(江間章子作詞/中田喜直作曲)はすごく好きな歌だ。メロディも歌詞もすこぶるよい。夏の盛りがやってきて入道雲がわき上がった空を見ると『夏の思い出』を口ずさんでいる。 こどもの頃、夏は苦手だった。夏の暑さがだめなのだ。いまでは信じられないことだが吾輩はどちらかと言...

君の瞳に乾杯#1 世界には何百万の酒場があるというのに

  世界には何百万の酒場があるというのに、よりにもよって、なぜ彼女はこんな地の果てにある私の店に来なけりゃならないんだ?(Rick's Cafe Americain の店主の酔いどれたすえの独白) 酒の味をおぼえ、酒の飲み方を学び、「本物の酒飲み」を志してから30年以上が経つ。30年。長い年月だ。そのあいだに数えきれないほど「君の瞳に乾杯!」と言ってきた。酒の味はさまざまで、酒の飲み方はいまだ身につかず、幾度となく口にした...

「よい眠りに導く羊」をめぐる日常生活の王権#1

  私はこどもの頃から不眠症だ。15時間に一度くらいのペースで50分ほどしか眠れない。そんな私のもとに先週の水曜日の夕方、「よい眠りに導く羊」を名乗る絵描きがやってきた。「よい眠りに導く羊」を名乗る絵描きは42歳。しかも永遠の42歳。42歳なのに見た目は7歳だ。「ぼくは永遠の42歳だけどが見た目は7歳。見た目は7歳だけどが不思議な力を持った見た目は7歳の42歳です。願いごとがあるなら言いな。いますぐ」「眠りたい。42...

東京幻食紀行(第一回)/西麻布「ひらまつ亭」

  東京幻食紀行はいまはなき料理、料理人、料理屋・食堂・レストランを幻視する。第一回目は西麻布の通称「ビストロ通り」にあった「ひらまつ亭」だ。店名が変わっておなじ場所にいまもあるようだが、それは吾輩にとっての「ひらまつ亭」ではない。単身パリに乗り込み、日本人初のミシュランの星を獲得して、一躍、料理界に名を轟かせた平松宏之がまだ無名に近かった頃。当時、平松宏之は「ビストロ通り」と呼ばれる西麻布の裏通...

1993年秋のロン・カーターとナンシー関と鼻行類的世界

  1973年の冬は横浜・本牧の小港にある船員相手のゲーム・センターでスリー・フリッパーのスペース・シップに合計17630円をつぎ込み、春までのあいだに73回のTILTを出した。15歳を3ヶ月ばかり過ぎたころのことだ。マスターベーションのベテランになりかけていて、陰毛がほぼ生えそろい、背筋力は180kg近くだった。私の数少ないヒーローだった近代ゴリラは私になんの断りもなく、1970年の秋の終りに市ヶ谷の軍隊の砦でみずから腹...

谷中びとの時間/ある若い友人との「再会」

  五月。三社祭の頃だった。浅草寺観音堂裏の洋食屋、『グリル グランド』で昼飯を食べた。パン・コキーユがこの店の名物にして一番人気である。芸者遊びにうつつを抜かしていた時代、いまはなき「治乃家」の離れの座敷でよく出前した。当時、売り出し中だった胡徳やまいこや千晶や香名恵の芸者衆とともになつかしい。「パン・コキーユ」は食パン半斤の中身をくりぬき、できた空間に絶品のベシャメル・ソースにからまったマカロ...

背中#1 後姿のしぐれてゆくか

  もうじき一年が終わる。百代の過客の後姿もしぐれゆく。青二才だった頃のある年の瀬が思い出される。中学二年の秋に母親が死に、一人の生活が始まり、六度目の正月を迎えようとしていた。私は二十歳で、それが人の一生で一番美しい年齢だなどとは誰にも言わせぬ日々を生きていた。貧しかった。いつも腹を空かしていた。そんな私にも容赦なく年の瀬はやってきた。 大晦日の夜。生物学上の父親が訪ねてきた。ジョニ黒をひと瓶ぶ...

シリアル・コーン・キラーズ#1

 ブラザー・コーンの無様な改心ぶりに業を煮やしたミリョ・クコリカとコリョ・クコリカのクコリカ兄弟は夢の球場づくりにかまけて仕事をしない唐変木の父親に言った。「仕事しろ! くそじじい! あしたどころか今晩喰うとんがりコーンもキャラメル・コーンもないんだぞ!」「まあまあ。おまえたち。そうとんがるな。とんがるのはとんがりコーンちゃんにまかせておきゃいいし、キャラメルだのキャラメリゼだのタルト・タタンだのは...

オメガ・ポイントに向かってまっしぐら

  私はリコレクター、記憶士だ。記述士、分析士、修正士、計数士、管理士、消去士、統合士を加えた8人でチームを組んでいる。完全なSOHO。形式的な健康診断と思想調査を除けば、出社に類するものはいっさいない。すべてはネットワークを通じて行う。 記憶士は宇宙のすべてを記憶する。それが仕事である。ひたすら記憶すること。考えなくてもよい。答えは求めない。答えを求めようとするとデータに誤差がでるからだ。 記憶は無...

KOBE-COLORS/神戸の色、創造の形。

  COLORS というフラワー・ショップがある。フラワー・ショップ、花屋というより、オートクチュール・フラワーブティックとでも呼びたい。兵庫県神戸市。設立3年。知る人ぞ知る存在。しかし、ほぼ無名に近い。スタッフの数も5名と家族経営に毛の生えたようなものだ。しかし、やっていることがすごい。すばらしい。まさにクリエイティブ。クリエイティビティにあふれている。伝統的なもの、正統なコンサバティブなものは無論のこ...

2012年土用の丑の日のココペリキリギリスのボーイ・リョージの巨大なファルス#1

  ココペリはホピ族の精霊にして豊穣の神である。ココペリはカチナの笛を吹き、ホピの人々に豊作と子宝と幸運をもたらす。いにしえのアメリカ大陸の人々はココペリが土地を肥沃にし、背中から種を蒔くことを語り継いだ。ココペリの魂が大地を離れるとおそろしい飢饉が起きて人々を根絶やしにした。「今度の土曜が土用の丑の日になったらどうしよう」と言った途端に口のまわりにカンジキウサギの毛をこびりつかせたココペリキリギ...

ハーチェクの白い城#1 チェコ語の音韻論をめぐるCzechとXechの終りなき闘争

  人々はハーチェクの白い城を「ハシシ」と呼ぶ。ハーチェクの白い城は純白のスクレ・シュクレに覆われている。ハーチェクの白い城を訪れる者を待ち受けているのは甘く馨しく狂おしい死、「ハシシの死」である。 ギリシャ危機のどさくさにまぎれてチェコ系フランス野郎のジャン=ディアクリティク・キャロンがコンコルド広場に「ハーチェクの白い城」の建設を主張しだしてからというもの、世界の天井はますます混乱の様相を呈し...

倦怠期ディスクール#1 E=MC Hammer

 E=MC Hammer H1 4Dr Wgn Cyberdyne Systems Model 101 Series 800 Version 2.4ℓ DOHC TWIN TURBO(Please Nailer, Don't Hurt 'Mam! U Don't Touch BUSU! I'll be Back!). あるいは「Soi-même-introduction」という名の制度的権力ネットワーク。数々の魅力的なオファーをくださった業界人乃至は業界人ぶった方々若しくは業界人ぶるのがお好きなおバカちゃんへ謹んで申し上げます。わたくしは「紙とインク」、つまりは「森の樹木を...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
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