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天国からカミナリ、天国にアローハ!

    IZはひとつ年下だった。IZは1997年6月26日午前0時18分に死んだ。38歳になったばかりだった。春の終りに天上界からやってきたIZは夏の初めに天上界へと帰っていった。IZが死んだとき、まちがいなく世界は軽くなった。370kgぶん。そして、宇宙の涙の総量が2パーセント減った。吾輩はIZを悼んでチャンティングした。ポリネシアンたちが集まってきて最後は大合唱のようなチャンティングになった。「そんなふざけた話があってた...

沈黙ノート#666

 生まれ変わることはできない。少しずつ変わることはできる。   ソス・ド・ヴィはオー・ド・ヴィへ...

蘭奢待の女

  どうしても解せない女が一人だけいる。その女は伽羅と名乗った。薄桃色の名塩雁皮紙でできた名刺には楷樹明朝体で「古木静香」とあった。名刺には伽羅の香が薫き込められていた。名刺の裏には所属する句会の名がみえた。たいそう名の知れた句会だ。そこで何度も賞を取ったことが見てとれた。「伽羅」は雅号の類いだろう。 伽羅は蘭奢待のひとかけらを持っていた。入手の経緯については最後まで口を閉ざしつづけた。最後までと...

R U Still Down Gun 4?/SUBMERSION OF JAPAN

  日本国を襲う四つの災害・災厄民主党・鳩山政権発足時に廃止された「事務次官会議」は「全省庁連絡会議」と名を変えて復活した。官僚=木っ端役人のお得意常套手段である「看板の付け替え」が臆面もなく行われたのだった。閣議前日に行われる「全省庁連絡会議」で決定されたことが翌日の閣議で承認、最終決定する。この国を動かしているのは内閣ではない。官僚である。木っ端ひとつさえも生み出すことのない木っ端役人どもが国...

CEST(UTC+2)2012年10月27日午前3時2分の『LATE FOR THE SKY』#1

 吾輩はほとんど眠らない。正確には15時間くらいに1度、40分から50分ほど眠る。この眠りはとても深い。吾輩の眠りは徹底的に深く、地震が起きようが火事場で泥棒がチャンチキおけさを歌って踊ろうが雷が鳴ろうが親爺が怒鳴ろうが目覚めない。3.11の大震災のときは東京にいたがちょうど眠っていた。猛烈な揺れに慌てた虹子が吾輩を起こそうと叩いたり蹴飛ばしたり水をぶっかけたりしたが吾輩は起きなかった。そのときの揺れは本当...

秋霜烈日#1 仇討ち/やられたらやりかえせ

 埼玉少女連続誘拐殺人犯・宮崎勤の死刑が執行されたのは判決確定から2年4ヶ月後のことであった。刑事訴訟法に照らすならば遅きに失すると言わなければならない。やられたらやりかえせ やくざの世界にはそのような不文律がある。昨今の性根の腐った輩どもによる悪行非道を見聞きするにつけ、「やられたらやりかえせ」という単純明快さがやけに説得力をもってくる。「仇討ち」は国家が殺人を容認したシステムである。武士が「仇討...

真冬の本牧PXの映画館、グリニッジ・ヴィレッジの青春、ワシントン広場の夜はふけて

  ニューヨークのマンハッタン島にグリニッジ・ヴィレッジと呼ばれる一画がある。ソーホーやトライベッカとともに人気のスポットだ。いまはなきWTCとおなじマンハッタン島のダウンタウンに位置する。グリニッジ・ヴィレッジは作家や芸術家などの漂泊者、寄辺なき人々が好んで住んだ街だった。エドガー・アラン・ポーやマーク・トウェイン、フランシス・スコット・フィッツジェラルド、ユージーン・オニールなどだ。あまたのビー...

カワセミ・ジョニーの帰還#1 帰りたい河が見えた。 帰れない河だった。

  10月の朝。世界は健やかで、まっすぐな光に満ちている。瀬音は軽やかに澄みわたり、風はひとかけらのけがれもない。何者も清流に生きる者たちの躍動を止めることはできない。そんな時間だ。一羽の若いヒメミツユビカワセミが手入れの悪い自転車のブレーキ音のような鋭い鳴き声を3回発し、ひと際まばゆい輝きを放ちながら清流を飛翔してくる。その速さ、躍動は他を圧倒する勢いだ。カワセミ・ジョニー。3年前に追放されたオスの...

巴里で午睡#6 昼下がりのワラビー・モーリな件。

  ワラビー・モーリが吾輩の前にそのあまりにもなトラッド、ラルフ・ローレンぶりで往年の名MF、アソシエーション・フットボールの上手な愚か者ポール・ガッザ・ガスコインがオーナー・シェフとして厨房に立つ安食堂『ガスコーニュ&コリン・スゲット・サンダーランド・マッケム・ニューカッスル・ユナイテッド』に姿を現したのは日曜の昼下がりのことだった。ワラビー・モーリはクラークスの焦茶のワラビー・ブーツを履いていた...

巴里の空の下、人生は流れる。#1

 世界の天井に降る雨。雨の朝に死んだのはだれだ? 大勢いる。大勢いるうちの一人がヴァニタス・スカルラッティだ。死のにおうかなしみを静かにたたえた優雅と優美。チャコール・グレーのカシミアの膝掛けのように憂鬱で静寂に満たされたやさしさ。ヴァニタス・スカルラッティの夢を語り継ぐ者はいまやいない。 雨の朝、巴里に死す。この冬はどんな夢をみるとしようかな。ろくでもない夢でも悪い夢でもこわい夢でも巴里でみる夢...

冬眠を忘れた熊との遠い春の日のいくつかの思い出

  遠くに巨大な岩山が見える。一枚岩。ひとつの岩の塊。標高1420m。外周21.42km。16億5千万年前、先カンブリア時代の中期に誕生した。剥き出しの岩肌に薄いオレンジ色の夕陽が照りかえっている。全体が花崗岩でできあがっている。カタジュタ、ウルルと同じだ。樹木はただの1本もない。わずかに群生するヘリトリゴケのほかには草木1本生えていない。禿げ山だ。住人たちはこの岩山を「魔の山」あるいは「魔物の棲む岩」と呼んでお...

巴里で午睡#4 右岸散策、馴染みの古本屋、ブランクーシ。そして人間観察。

  昼餐後、セーヌ右岸を散策中に馴染みの古本屋でコンスタンティン・ブランクーシのカタログレゾネを買う。古本屋の店主は三代目。吾輩が懇意にしていたのは今の店主の父親だ。三代目も父親に負けず劣らずの頑固一徹、偏屈無愛想を絵に描いたような人物である。お愛想ひとつ言えぬ不器用者。だが、その頑固一徹、不器用ぶりがその古本屋をして巴里一の古書店にしているというのが吾輩の考えだ。軟弱や要領狡猾や風見鶏や提灯持ち...

カルミナ・ブラーナ 血の歌 第1の歌 レチタティヴォ #1

 曾祖父宛のカール・オルフの手紙をきっかけに、『カルミナ・ブラーナ』の写本をめぐる謎解きの旅はその緒についた。アノ・ドミニ紀元2000年の冬の盛りのことであった。『カルミナ・ブラーナ』「ボイレンの歌」は300編余りあり、それらはラテン語、中高ドイツ語、古フランス語、古イタリア語で記されていて、解読するだけで7年の歳月を要した。その間、わたくしは妻と飼犬の死にまみえ、さらにはわが血に宿る呪われし病を発するに...

ある賢者の死

  恩師が逝った。K先生。64歳。肝臓がん。高校時代、K先生には倫理社会と日本史Bを教わった。当時、K先生は正教員ではなく非常勤講師だった。私が通っていた高校は教員も生徒も「偏差値」と「東大合格者数」しか頭にないつまらぬ輩ばかりだったが、K先生はちがった。志があった。「読むべき本」「観るべき映画」「聴くべき音楽」、そして「考えるべき事」のリストが新学期の最初の授業の冒頭に渡されるのみで、教科書の類いはい...

星を継ぐ者の系譜#1 ボブ・マーリーと嘆きの兄弟たち/跳ぶ男 LOGOS JUMP

ハッパフミフミクサ喰えばマンチーキタコレコークでキメキメ『出ジパング記』と中野サンプラザと解放区、無法地帯。ヤーマン、ラスタマン、ラスタファリアン、ドレッダー、レゲエ野郎ども。イケナイケムリ、スモク、巨大な凡愚。 1979年4月、『出ジパング記』を記す景気づけとバビロン行きのバスに乗るためボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ東京公演の会場である中野サンプラザまで出かけた。東京公演の2年後、ボブ・マーリーは天...

アール・クルー日和#1

  鉄の掟、家事の得意な金持ちの友人、生涯にたった一人の友人。 かつて、[アール・クルー日和]と呼ばれる日々があった。1985年の夏のことだ。1985年の夏から27年の歳月が流れた。そろそろあの夏の日々について語る潮時である。なにごとも潮目潮時が大事だ。いまを逃しては永遠に語ることはできない。いま私は語ろうと思う。1985年の夏の日々と私自身と猿の漫才師サルーのために。私と猿の漫才師サルー以外の人々に有用な教訓や...

超越論的美食学をめぐる人と超人とピュグマリオーンのためのキュイジーヌ#1

勉強と事務処理と残務整理のために自分だけの集中した時間が欲しかったので、虹子とおねいちゃんたちとキッズどもを「今年の冬将軍様のおでましは早そうだから今のうちに南仏で光と風を体内に取り込んでおきなさい」と有無を言わせずに追い出す。帰還は2週間後だ。2週間の一人暮らし。ということは2週間の貴族生活。なにはともあれ、朝のマルシェへ。朝夕の空気にはすでに冬将軍様の容赦のない気配がある。ダッフルコートの水牛フ...

BANKSYTELLING#1 ステンシル・ステルス爆撃機でストリートを絨毯爆撃だ!

You're Under Arrest(笑ってる場合か! チュー公と道化師!)ディズニーランドとマクドナルドとスカイツリーで幸福が手に入れられるなら神さまだって苦労しない。(歩行する貝殻)ソス・ド・ヴィはオー・ド・ヴィへ...

ヘミングウェイ・デイズ【第1日目】

 熱く深く鋭く静かに穏やかなることを学べ Start Your Engines ヘミングウェイは新聞記者として「ゴミのような記事」を書いて生活していた頃、製材所の2階に住んでいた。そして、週に2度町外れのボクシング・ジムに通った。ゴミのような記事を書き、体を鍛え、文学修行に明け暮れる日々。記者として一日の仕事を終えたあと、ボクシング・ジムでサンドバッグにパンチを叩きこむヘミングウェイ。しかし、ヘミングウェイがサンド...

知のたのしみ、知のたくらみ、知のはかりごと(謀略と計略)#1

 知の集積度と盗みの技術力は比例する。  視えない自由を撃つための視えない銃によって狙撃されし者。『泥棒日記』の作者にして剽窃者。盗人の王。 Shooted by Diogenez Dogz この知の胎内でエクリチュール・グラマトロジーしている少年はアノニマス・ガーデンの庭師が妾腹に産ませた10歳秋の吾輩である。家出出奔し、放浪放縦自由放埒の日々をすごしたのち、現在、クルニアンクールのアイドルとして飾り窓のおねいちゃんたち...

QUO VADIS? われわれはどこから来てどこへ行くのか?

  名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実ひとつ 冷めやらぬたちの悪い微熱に困憊辟易しながらおそい午睡から醒めた。窓の外を見ればすでに黄昏どきを過ぎ、夜の帳が降りはじめている。そこここの街の灯りの瞬きが熱をもった目にはすこし眩しい。虹子はポルコロッソの毛繕いに夢中でこちらには無関心を決め込んでいる。冷水で顔を洗い、たばこを立てつづけに3本吸う。まずい。なにゆえにこれほどまずくてくさいものと訣別でき...

賤妾は君と共に糜をくらわん

  表題の「賤妾は君と共に糜をくらわん」は『楽府詩集』の中にある「東門行」という歌の一節である。「糜」とは粥のこと。『楽府詩集』は中国の北宋の時代(12世紀くらい)に編纂された愛唱歌集のごときものであって、前漢以前の大昔から唐末五代にかけての勅撰楽章や民間に伝わる流行歌などを集めている。今風に言うならば『My Favorite Songs Book』『お気に入り歌集』ということにでもなるのだろうと思う。  さて、「賤妾は君...

哲の馬 Philosocycle#1 遥かなるツール・ド・フランス

  毎年、夏の訪れとともに「旅」から遠く離れてしまった自分に気づく。そして、ツール・ド・フランスが始まる。2012年のツールは6月30日、ベルギーのリエージュにおける個人タイム・トライアルで幕をあけた。プロローグを含めて全21ステージ、3496.9 kmの旅。フランス1周、3496.9 kmを走破した勇者たちは7月22日、パリ・シャンゼリゼに凱旋した。そうだ。まさに凱旋と呼ぶにふさわしい。 ツール・ド・フランス、フランス1周の旅...

ポークパイ・ハットはいかにして帝王に別れを告げたか?

 マーカスの鏡を覗き込むと同時に「蚊トンボ 蚊トンボ」という嗄れた声が聴こえた。Milesマイル彼方でこわばった笑顔をふりまきながら誰彼かまわずに「だからどうした八百屋の五郎!」と脅しまくっているはずのマイルス帝の声だった。マーカスの鏡の横にはチクザン・モンバンブー・タカハシが居座り、おまけに私がモントルーでせしめたポークパイ・ハットを自慢げにかぶっている。「やい! チクザン! 帽子をかぶるのはいいけどさ...

ラデュレの塔の秘密 Les Secrets de la Tour LADURÉE

  あるマドモアゼルへの手紙Lettre pour TOPAZ誠実・友情・潔白を探し求める黄玉さん、初めまして。メッセージをありがとうございます。お問い合わせの「マカロンは色によって味がちがうのか?」の件です。答え:ちがいます。「メレンゲ+砂糖+アーモンド・パウダー」を原料・素材とするという点においてはいかなるヴァリエーションであれ、変わりません。いうなれば「マカロンの基本」ですね。ただし、これは正式なレシピに則っ...

2012年宇宙の尻取り#1 性と時間と覚悟

  2001年の冬に「ねとらじ」なる玩具をみつけ、しばし戯れに興じたことはいくぶんかの「刺激」をもたらした。だが、すでに飽きてしまった。人間とは、いや、「私」という現象とはなんと我儘で恣で飽きっぽいことであるか。やや間を置いた時期に知り、即、導入を決めた「スカイプ」は便利かつ重宝しているし、まだ飽きてはいない。「きのうのこと? そんな昔のことは忘れた」というのが私の思想的政治的信条でもあるので過去はふ...

「イマ、ココハ、戦場ダ。」「兵士ヨ。スベテヲ終ワラセロ。」「グッバイ・ソルジャー。」

  「ファルス!」と叫んで夏服を着た女は消滅した。「夏の愉しみは夏の終わりの蜩だ」とエゴン・シーレが頭を大きくして言った。「けやき坂には64本の欅があって、蜩どもがつれづれに縄張り争いをするんだ」とクリムトが尻を全能神ゼウスに突き出して言った。「夜ふけ、TSUTAYAでCD試聴したり、スタバでペンティ・サイズのキャラメル・マキアートを飲んでいると、いつのまにか傍らにレナウン・イエイエ女が立っていて、三半規管...

黄金のカエル#1

  オイラは黄金のカエルだ。名前なんかねえ。あすの朝一番で旅に出る。北の沼を出るんだ。あてはねえが目的はある。ずっと昔にオイラの前から姿を消した一匹の緋鯉を探しにいくのさ。オイラがまだオタマジャクシに毛の生えたようなガキの頃によ。北の沼一番の不良でオイラの憧れだった鯉の兄ちゃんが、ある秋の夕暮れ、やけに遠い目をしてこう言ったんだ。「おい、坊や。漂うのはいいが、絶対に沈んだりなんかするんじゃねえぞ」...

巴里で午睡#2 マ・ジョリのパリ・ドゥ・イルヌちゃんへ♪

「パリ・ドゥ・イルヌっていいですよねー。わたしも一度だけ行ったことありますー♪ (*^-^)ニコ」とのメッセージをくださった第二外国語でおふらんす語を履修したか、あるいは、どこぞの仏文科だか仏教科だかを出たあなた! あなたの言う「パリ・ドゥ・イルヌ」というのはどこにあるんですか? わたくしも是非一度行ってみたい! 巴里にあるんですか? それとも日本? 東京? イル・ド・フランスの入谷の交差点あたり? ヨハネスブル...

ランボーは水色の自転車に乗って#1

  哲学的な自転車乗りとそうでない自転車乗り 自転車乗りには哲学的な自転車乗りとそうでない自転車乗りがいる。例外はない。この話は哲学的な自転車乗りの生と死の物語となるはずである。  行きつく場所、たどりつく果て。 語りうることと、語りえぬこと。 漕ぐ果てにあるもの、あるいはないもの。 語る果てにあるもの、あるいはないもの。  ランボーは九段坂をアウターギアのまま登りながら心の中でそっとつぶやく。T...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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