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東京の午睡#9 息の根を止めた外付けHDを前にして

   3年間酷使しつづけた外付けHDが息の根を止めた。ぶっ叩こうが怒鳴り飛ばそうがうんともすんとも言わない。完全なる沈黙。茫然と、しかしいくぶんか陶然と、沈黙を守りつづける外付けHDをみている。3年のあいだに集積された原稿、資料、企画書、報告書、訴状、準備書麺、答弁書、控訴趣意書、講義録等の文書ファイル、iTunes Storeほかで購入した音楽ファイル、折に触れて撮影した画像ファイル、とうてい他者には見せることの...

ヌーヴォ・リブロ・パラディーゾ#4 想像力と、数百円。

  こまっしゃくれたブンガク青年かぶれだった頃、懐にいつも文庫本を忍ばせていた。それは坂口安吾の『堕落論』であったり、アルベール・カミュの『異邦人』であったり、大江健三郎の『セブンティーン』であったり、村上春樹の『風の歌を聴け』であったりした。それらのたった数百円で手に入れることのできた文庫本は、当時の私をあたかも必殺無類の名刀を持っているような気分にしてくれた。「こいつさえあれば世界のすべてをチ...

Anonymous Revolution#1

  Boot up ──Click,Enter,記憶の岸辺/ミュトス・シティ東部沿岸 UTC17時42分ミュトス・シティ唯一の砂浜に打ち寄せる波を数え終えたとき、呪われたアルマジロと虹のコヨーテと黄金のカエルがやってきた。「冬眠を忘れた熊よ、いよいよその時が来たのだ。グレート・マザーに戦いを挑む時が」呪われたアルマジロの言葉は簡潔で自信に満ちているうえに神々しかった。言葉のひとつひとつに神が宿っているのではないかと思えるほどだ...

ヌーヴォ・リブロ・パラディーゾ#3 有栖川の森でアレキサンドリアの幻影をみる。

 わがアザブ・デイズの拠点から歩いて5分足らずのところに有栖川宮記念公園はある。公園内、東側高台の一角を占めるのが東京都立中央図書館だ。目黒区立目黒区民センター図書館とともにわたくしのお気に入りの図書館である。ビートニク・ガールと同道することもあれば、わたくし単独で調べ物、書き物、居眠り、油打ち、沈思、黙考することもある。シークレット・ガールとの逢引きの場所としても重宝している。また、ビートニク・...

ヌーヴォ・リブロ・パラディーゾ#2 ウィリアム・モリスの森/書物の終焉

 iPadのiBooksで『草枕』を読んだ。これまで暗誦できるくらいに何百回となく読み親しんだテクストがまったくの別物という印象を受けた。枕が羽毛から河原の石くれにかわったほどのちがいである。読みすすみながら、なんとは言えない「異和」を感じている自分がいることに気づき、不思議な動揺に見舞われる。書かれている内容は「テクスト」「文字情報」という点から見ればどちらも同じであるのに感じるものの質がまったくちがう。...

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プロフィール

自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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