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火処ばしる女

    その昔、横浜の保土ヶ谷駅にほど近い山側に「火戸」あるいは「含所」または「秀所」と呼ばれる集落があって、そこに住まう50がらみの女に逢いにちょくちょく出かけた。吾輩はまだ20代の前半であって精が漲り、迸り出ようとするのを抑えようがなかった。吾輩は多いときには週に4度も5度も女のところに通い詰め、それこそ朝から晩までどころか翌日までひたすらに女と交わりつづけた。女は吾輩と出会う1年ほども前に夫を亡く...

水走る女

    水走る女は水の神、呪いの神、大蛇(オロチ)、蛟(みずち/みつち)の化身であって、精霊、物の怪、妖怪のたぐいである。水走る女は蜜迸り、滴る女でもある。古事記・日本書紀に弥都波能売神・罔象女神(ミツハノメノカミ)/水波能売命(ミヅハノメノミコト)とある。祖は水のマナの都、任那。水走る女に名をたずねたら、四方に伸びた紙漉きの手をやすめて、「水沼」と答えたのには大層驚いた。驚いたついでに、刻みあげて水葉や鰆...

屋根裏部屋の王が創造した「掌の中の宇宙」

 目の前の机の片隅で月明かりを浴び、一個の懐中時計が光っている。眼を凝らすと水晶でできた文字盤に月が映りこんでいる。 掌の中の宇宙に浮かぶ月。 その懐中時計の名は [Marie Antoinette/BREGUET NO.160]。数奇な運命をたどった伝説の時計である。1783年、ルイ16世の妃、マリー・アントワネットは当代最高のキャビノチェ(時計職人)であるアブラアン・ルイ・ブレゲを直接呼びつけ、護衛官を通じて「すべての機構、装飾を盛り...

黒髪に恨みは深く

                                   Photo by ZIN 遠い春の夜、稲村ケ崎の断崖から海中に身を投げようとしたとき、うしろからきれいな声が聴こえた。  「ごいっしょしましょうか?」    ふりかえると長い黒髪の美しい女が立っていた。恐ろしい体験だった。以来、春の海には近づかない。 「ごいっしょにいかがですか?」 うしろから声がした。妻がコーヒーカップをふたつ持って立っている...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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