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ペーパーバック・トラベラー#3 ようこそ、渚ホテルへ

   1990年の夏の終り。134号線のロング・ドライブに疲れてうとうとしかけたとき、遠くでぱちんと音がした。進行方向左手に2階建ての白い洋館が現れた。渚ホテルだった。私はそうすることがあらかじめ決められていたように車を停めた。海に向いたテラス席に座り、よく冷えたビールをグラスに1杯飲み、軽めの食事をし、海を眺め、潮風の匂いをかぎ、陽の光のただ中にしばし身を置くだけのつもりだった。ビールを飲み、サーモンの...

Paperback Traveler#2 復讐は誘蛾灯のように人生に投げ込まれる

   最高の復讐は誘蛾灯を投げ込むことである。 E-M-M ほぼ40年ぶりにカルヴィン・トムキンズの『Living Well Is the Best Revenge』を読んだ。『Living Well Is the Best Revenge』は当時の英語の新米美人教師がアメリカ本国から取り寄せてプレゼントしてくれた。本国では5ドルもしないようなペーパーバックが、円/ドルの為替レートが現在では想像もつかない相場だったことや、デリバリーの費用やらなにやらで数千円、下手をす...

噛む男

  私の耳たぶを噛む男がいる。男は私の耳たぶをとてもじょうずに噛む。噛むというより撫でられているように感じることさえある。彼が私の耳たぶを噛むようになってからもう3年2ヶ月だ。初めの頃はキャドバリーのフルーツ&ナッツ・チョコレートとビーバー・カモノハシの臍の緒の赤ワイン煮込みと人参のピクルスをいっしょに食べるような不思議な違和感があったが、いまではすっかり慣れてしまった。 噛む男の名前はいまだにわか...

ペーパーバック・トラベラー

  パンナム・エアの時代遅れもはなはだしい曲面の翼をひろげたアトランティック・バード号は空の勇者のように静かに滑走路に舞い降りた。ゲートまで滑るように進み、タラップが大きな音を立ててドアをノックする。ニューヨークからの乗客が一斉に立ちあがる。物理学者が無惨に死に、失踪中の歴史学者のメモが14世紀の地層から発掘されたところでマイケル・クライトンの『タイムライン』を閉じる。開け放たれたドアからバハマの熱...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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