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コアントローポリタンの女

    どこにも行きたくない者にとっては世界のどこであろうと地の果てだ。E-M-M電話の呼び出し音。世界の果てにあるヒッコリーの森の木樵小屋からだ。木樵の家族の笑い声。薪割りの音。小鳥たちのさえずり。顰めっ面をした騎兵隊長のナッツクラッカー大佐がクルミを割っている。ヒッコリーの老木が倒れる音もする。夢か? いや、すべてが夢というわけではない。電話は確かに鳴っている。神経を逆撫でする呼び出し音が少しずつ大...

「野獣死すべし!」と叫んで達する女

   達するときに「野獣死すべし!」と言うように調教した女がいた。自由が丘に広大な土地を持つアルビノの女だ。 ある日、めしを喰っている最中に「野獣死すべし!」と叫ぶのでたずねたら、達したと言う。「なんでだ?」「わかりません。急にイッてしまったのです」「好き者の君のことだ。大方、淫想のたぐいをしていたんだろう。吉行淳之介が言っていたが直立不動のままレーゾンデートルをいっさい触らずに射精に至る男がいる...

夢二女とヴァン・ドンゲン・ウーマン

  先々週の金曜日の夕方に和光の前で拾った宝くじが二等に当たって棚から牡丹餅で1000万円のお宝がふところに入ったので、自分になにか御褒美をあげようと思って伊東屋でファーバー・カステルのディレクターズ・ペン140番を100本と木箱入りのアルブレヒト・デューラー水彩鉛筆120色セットを買った。眼の下にうっすらと隈をこしらえたすごいような美人の店員を口説こうかどうか思案しているうちに腹の虫がぐうと鳴ったので口説く...

ギャツビーの女

  週末、金曜の昼下がり。都会の喧騒が消え失せた宝石のような時間。オフィス・ビルの壁面のガラスが夏の初めの空と雲と光を映している。仕事は午前中にすべて片づけた。仕事もプライベートもすべては順調で、なにひとつ思いわずらうことはない。これから日曜の夜にベッドにもぐりこむまで、夏の始まりにふさわしいとびきりの時間をすごせる幸福で、心は夏の雨上がりの空のように晴々としていた。 オープン・テラスのテーブルの...

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プロフィール

自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
Fluctuat nec Mergitur.
R U Still Down Gun 4?
玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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