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ハルキゴンチチ・デイズ#10 間奏と感想/風にそよぐサポナリアの花影で。

   風について考えられるのは、人生の中のほんの一時期のことなのだ。 HALKIMBO-M シャボン草が芽吹き、花咲き、梅雨の合間に淡く弱い青空がのぞくとシャボン玉を飛ばす。頬をかすめる風。風にそよぐシャボン草。シャボン草の花の間近で弾けるシャボン玉。すべては風のいたずら、風の気まぐれ、風の意志によるものだ。 風に魅かれる。みえない風に。樹々や草花が揺れる姿やさざめく音、波しぶきが舞い上がるようすを通してし...

ハルキゴンチチ・デイズ外伝#1 横浜本牧シーメンス・クラブにおける「恋の終わりかた」

   本牧埠頭の付根にある船員相手のバーレストラン、シーメンス・クラブの窓際のテーブルで、ひとつの恋が終わろうとしていた。恋が終わるに至る詳しい事情はわからない。恋が終わるにあたっては実にさまざまな出来事やら事情やら偶然やら必然やら風向きやらが介在し、そこには、他者には決してうかがい知ることのできない深い「闇」が広がっている。 水道代が原因で終わった恋さえある。私の22歳のときの恋だ。大貫妙子の「さ...

ハルキゴンチチ・デイズ#8 犬どもの家、犬どもの死ぬには手頃な日

   私と苦悩するビーバー・カモノハシと青い珊瑚礁の早起きブルーバード、三匹の犬どもがそろって死んだ日のことだ。 われわれは小港橋の脇にある木造モルタル造りのおんぼろアパートに部屋を借りた。6畳一間。風呂なし。台所トイレ共用。敷金礼金前家賃なし。電気ガス水道電話賃食費などの費用はすべて三等分。女人禁制。われわれはその部屋を「犬どもの家」と命名した。数少ないいい点は窓から港が見えることと霧笛が聴こえ...

ハルキゴンチチ・デイズ#7 深夜の山下埠頭で星空を眺める会

   いつも心に冬の大三角形を 本牧埠頭D突堤でOOCLの青いコンテナに激突して死んだ友人のうちの一人は在日朝鮮人だった。シーメンズ・クラブで初めて会ったとき、「苦悩するビーバー・カモノハシ」と名乗った。シーメンズ・クラブの4番のビリヤード台に「鯨」と命名した夜だった。苦悩するビーバー・カモノハシの親は伊勢佐木町で大きなサウナを1軒とパチンコ屋と焼肉屋を経営する大金持ちだった。家は根岸台にあって、ホワイ...

ハルキゴンチチ・デイズ#6 6.22事件の犬

  おまえたちが生まれるずっと前に、おれは世界が洪水になっちまうくらいの涙を流してきた。そのことを教えてやる。 E-M-M2013年6月22日土曜日、糸居五郎を軽々と超えるラヂオをやる。台本なし、規制なし、おべんちゃらきれいごとおためごかしなし。番組表題は、『最初で最後の、エンゾとガジンの”おまいら、一回死んどけ”』だ。いまから、聴けるように準備万端しておくがいい。あしたから『最初で最後の、エンゾとガジンの”おま...

ハルキゴンチチ・デイズ#5 日曜日のうた、光のうた

   雨上がりの日曜の世界が光匂い満ちてあるように。 E-M-M 正確に35年ぶりにリッチー・バイラークのピアノ・ソロ作品、『Hubris』を聴いた。1曲目、『Sunday Song』がしみた。とてもしみた。『Hubris』を手に入れたのはキース・ジャレットをはじめとするECMレーベルの音源をすべて集めようとしているさなかだった。 生まれて間もない嬰児をかき抱くように『Hubris』を抱いて帰った。部屋に着くなり、アンプリファイアーに灯...

ハルキゴンチチ・デイズ#4 Sex, Drugs and Rock'n'Roll

ハルキゴンチチ・デイズ#4 Sex, Drugs and Rock'n'Roll   Sex and drugs and rock and roll is all my brain and body need. Sex and drugs and rock and roll are very good indeed. I-D+C-J『風の歌を聴け』の鼠は「セックスシーン」がなく、だれも死なない小説を書くことを試みる。だが、これは20世紀末世界においては欺瞞に満ちた行為だ。20世紀末世界においては、だれもかれもが手当り次第にセックスをし、ベトナムを中心...

ハルキゴンチチ・デイズ#3

   世界はヤクルト大洋戦の消化試合のように退屈である。 E-M-M『風の歌を聴け』の主人公の友人である鼠という人物の口ぐせは「はっきり言って」だ。そっくりそのまま真似してはつまらないので、少し手を加えて自分の口ぐせのひとつにした。「端的に言って」だ。「端的に言って、きみのレーゾンデートルはとても臭い」「端的に言って、ホットケーキのコーラがけは不誠実きわまりない食べものだ」「端的に言って、人間は快楽と拡...

ハルキゴンチチ・デイズ#2

   ハルキンボ・ムラカーミとゴンチチの日々は海の底でさまよいつづけるクラゲのような日々でもあった。 村上春樹は『風の歌を聴け』の初めのほうでとても印象的なことを書いた。ひとつめは、「完璧な文章などといったものは存在しない。 完璧な絶望が存在しないようにね。」という大学教授の言葉。 ふたつめは、すべてを数値化するということ。『風の歌を聴け』の主人公にならってすべてを数値化した。この試みは愉快だった...

ハルキゴンチチ・デイズ

   ルイスウェイン・キャットは死んだ。ルイスウェイン・キャットは、今蘇る。かくして、言語は破壊されるのを待つ。 GA-JIN ハルキンボ・ムラカーミが腐敗したマーケティングに身を委ねた以上、残された道は破壊するか破壊されるか、ふたつにひとつだ。 E-M-M 村上春樹の『風の歌を聴け』を読んだとき、二十歳だった。主人公と同い年だった。「スパゲティ・バジリコで世界を喰い破れるもんか!」と思った。 元町から本牧の...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
Festina Lente.
No Pain, No Gain.
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玄妙の言葉求めて櫻花
薄紅匂う道をこそゆけ

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