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GRIP GLITZ#9 周到な準備が勝利を招く1

   男は殺しの前に"Amat Victoria Curam"とつぶやく。1957年型のフェラーリ 250 GT LWB Berlinetta Tour De Franceが静かに停まった。美しい曲面を描くドアが開き、無駄も一分の隙もない動きで左脚が出てくる。男が履いている靴はガジアーノ&ガーリングの黒のミッチェルTG73だ。いや、黒ではない。わずかにブルーが混じっている。ミッドナイト・ブルー。6月の梅雨の合間の青空が映り込むくらいによく磨き上げられている。足は...

GRIP GLITZ#8 モバードとハミルトンとトロピカル

   クルマ。時計。靴。スーツ。自由。友情。流儀。誇り。音楽。映画。読書。長い休暇。貧者の食卓。デイヴィッド・ホックニーのリトグラフ。ラブレスのカスタムメイド・ナイフ。McIntosh MC275。フロマージュ。フロマッジオ。良妻のスープ。アボカド。檸檬。ズッキーニ。万願寺唐辛子。酒。体脂肪率一桁。そして、カネ。── 女の出番は当分ない。E-M-M昼下がり。街の中心部の裏通り。ヴィンテージのリスト・ウォッチ専門店。看板...

GRIP GLITZ#7 ハンク・モブレーが「Work Out!」と叫ぶ夜

   そもそも世界に「答え」など存在しない。なぜなら、初めから世界のどこにも「問題」が存在しないからだ。「答え」が欲しいなら「問題」をつくるしか手はない。「問題」をつくりたいなら「答え」を探せ。探しているうちに「問題」は出来あがる。それがこの世界の明瞭にして精緻な「仕組み」である。 E-M-M「で、ケムリにしたいのは何人なんだ?」「全部で11人」「そいつはちょいとお高くつくぜ」「はい」「全部まとめてがいい...

GRIP GLITZ#6 東京ハードボイルド・ナイト#1

   東京の街に夜の帳が降りはじめるまで Havana Club をショットグラスにダブルで2杯分ある。「ゆうべの仕事は久しぶりにきつかった。夜の新宿の雨は痛い。特にいやな仕事のあとの夜の新宿の雨は」GRIP GLITZの言うとおりだ。新宿の雨は痛い。どれほど小さな雨粒であっても肌に突き刺さる。特に、息の根が停まったのを確認するために近づき、肌の美しい女の死顔をみたあとの新宿の雨は。新宿の雨が痛みを増したのはいつからだっ...

GRIP GLITZ#5 クロノスの大鎌

   ついにクロノスの大鎌をふるうときはやってきた。待ちに待っていた。この瞬間を。この愉悦のときを。「あのひとは必ずわたしを殺しにくる」女の顔には深い皺と苦痛が刻まれている。アルビノのように白い肌は青黒くくすみ、眼のまわりには大きく濃い隈が張りついている。薄い唇は潤いを失って干涸び、息は猛烈に臭い。死神に見入られている者の姿だ。そして、女の最大の不運は「あのひと」がこの私であることだ。女は私が「あ...

GRIP GLITZ#3 バーゼル帰りのゴテゴテ男と藤色のベルサーチを着たチャラチャラ・プワゾン野郎#1

   (『ニュルンベルクの歌合戦』の演奏中に居眠りしていた若いコンサート・マスターに対して)とっとと帰りやがれ!ワグナーはガキの音楽じゃねえってんだ! オットー・クレンペラーバーゼル帰りだというその男は左手首に巻かれたBREVAのGénie 01をこれ見よがしにバー・カウンターの上に突き出し、不自然きわまりなくしきりと動かしつづけた。「いけ好かない野郎だ」と思った。世界はすべて「シンプル・イズ・ベスト」で出来上が...

GRIP GLITZ#2 吐いた唾とケツの拭き方

    視えない銃の銃口は常にわれわれの心臓の真中に向けられている。 E-M-M「ちょっと待った。吐いた唾を飲むのか?」それまで無表情と言ってもいいほどに静かだった男の顔が修羅の形相に変わった。修羅そのものだった。「そういうわけでは・・・」「そういうわけもこういうわけもあるか! ケツの拭き方ひとつろくに知らんおまえのような不作法者に、滑ったの転んだのと能書き御託を並べられるおぼえはない。なんなら、この場...

GRIP GLITZ#1 輝ける金ピカの闇

   「GRIP GLITZ」と男は言い、黄金に輝くイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社製デザート・イーグル Mark XIX .50AE Goldの銃口を私の口の中に突っ込んだ。「GRIP GLITZ」男は再度言った。男の眼はデザート・イーグル Mark XIX .50AEの輝ける闇の入口のような銃口とおなじ色をしていた。唾を飲み込んだ。2度。さらにもう1度。唾は血の味がした。焼け焦げた血の味が。「GRIP GLITZ」さらに男は言った。眼の色は2度目より...

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自由放埒軒

Author:自由放埒軒
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