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パリの空の下のバラ色の人生 ── ラデュレのバールで「君の瞳に乾杯」したあとハシゴ酒する。

    ラデュレのバールで「君の瞳に乾杯」する。遠い異国から客人が遥々やってきた。バツイチになったばかりだというその人物はインターネット黎明期に吾輩が出没していたあるチャット・ルームの常連で、当時は大学生だった。吾輩の幻惑衒学のエクリチュール・クワルテットによってコテンパンにされていたうちの一人である。「酒は飲めるのかね?」「はい」「かなり飲めるのかね?」「はい」「ものすごく飲めるのかね?」「はい...

されど、われらが幻のラ・トゥール・エッフェル

   1987年秋。早逝した戦友を追悼するために集ったリラの花影揺れる凱旋門の近くの小さな食堂で、漂えど沈まず、悠々として急ぐ宴の締めくくりに、我々はカルバドスの満たされた杯をあげ、死んだ友を思い、魂の奥深く刻み、誠を捧げてから静かに最後の乾杯をした。そして、固く再会を誓い、それぞれの戦場へと帰還した。ある者は中東へ。ヨルダン川のほとりへ。ある者はアフリカへ。ヨハネスブルクのポンテシティ・アパートへ。...

流儀と遊戯の王国/夢を語ったチューハイの泡に弾けた約束は

  夢を語ったチューハイの泡に弾けた約束はあかりの消えた浅草の炬燵ひとつのアパートで。B-T冬将軍さまが肩で風を切っておでましになり、北風が手加減も容赦もなく強さを増して寒さが身にしみはじめるとビートたけしの『浅草キッド』を繰り返し聴く。そして、酒を飲む。いくらでも飲む。飲むのは熱燗かチューハイかウィスキーと決めている。それもとびきりの安酒を。カネがあろうとなかろうとかわらない。『浅草キッド』と安酒...

流儀と遊戯の王国/ハートのかたち ── ゴクドーを待ちながら

   品性と品格を失わないかぎり、困窮も困難も困憊も孤独もやりすごせる。その余のことはすべて過程のひとつにすぎない。E-M-M上野・稲荷町の交差点に年老いた香具師がいる。名を工藤といい、人々は彼を親しみと畏敬の念をこめてゴクドーと呼んだ。ゴクドーは永寿病院の正面玄関脇で商売をしている。啖呵売だ。ビール・ケースを台にしたラワン材の合板に下卑た鮮紅色の布をかけた売り台にはレイバン風のサングラスや出自不明の...

チキンライス世界の松本人志とハードボイルド・ワンダーランド。そして、驚愕のおセレブさん。

  クリスマスが近くなるとできたてのチキンライスの酸っぱい湯気の向こう側に見え隠れするまだ若く美しい母親の笑顔を思い出し、『チキンライス』を聴く。『チキンライス』はいい歌だ。デビュー当時の宇多田ヒカルくらいいい。たけしの『浅草キッド』に迫る。『チキンライス』を初めて聴いたときは自分が経験してきたことと驚くほどに酷似していたのでびっくりした。親の顔色をうかがい、懐具合を気づかって一番安いメニューのチ...

夢破れ、ふけゆく秋の夜の旅の空に一人わびしき思いをかかえている戦友Hへ

  メール読んだ。三回読みかえした。四回目の途中で読むのをやめた。おまえのテクストは「てにをは」「句読点」「文法」はまちがいだらけで小学生レベルだし、「誤字脱字」はめまいがするほどだったが、おまえの言いたいこと、思い、気持ちはよくわかった。正直に言うならばとても心にしみた。そうか。旅の空にあるのか。齢を重ね、夢破れ、一人わびしき思いをかかえて。おまえは今、ふけゆく秋の夜の旅の空になにを見ているんだ...

流儀と遊戯の王国#15 扇子とセンスとパラダイムとエピステーメーと蘭奢待の女

   京都嵯峨野に工房を構える孤高の扇子職人の手になる渋扇のいくたりかを入手した。七寸五分の渋扇。扇骨は本煤竹、扇面は本手漉きの嵯峨野和紙、かなめは錫、手描きの景色、「矯め皺」の景色。いずれも素晴らしい。文句のつけようがない。溜息が出るほどだ。本伽羅が実にほどよく薫きこめてある。扇ぐと仄かで品のよい甘い香りをともなって清風が起こる。蘭奢待ほどではないが濃厚濃密さが奥のほうにひっそりとある伽羅。 お...

マイオルカの男と海の賢者

   マイオルカの男と海の賢者はイルカとともに悲しみの青い海を泳ぐ。 E-M-M いまでもときどきマイオルカの男の野太い声が耳をかすめる。腕組みをし、トスカーナの青い海を見下ろす分厚い胸板をしたマイオルカの男の姿が眼に浮かぶ。マイオルカの男はトスカーナの海の底でイルカの子守唄を聴きながら、海の賢者・ジャック・マイヨールとともに眠りについている。 目を覚ましたマイオルカの男はジャック・マイヨール相手に馬鹿...

流儀と遊戯の王国#12 本日の吾輩グレート・ギャツビー・コーディネート

   境界のボートの舳先には神秘のヴェールに輝く石が埋め込まれている。 E-M-M 夕暮れゟ、ヴェルニー公園にてオールドミス・デイジーとエロティック・ヴェール・デート。本日、緑に彩られた還暦を迎える兼高かおる似のロマンスグレー・ビューティー。カドーも準備万端。ミステリアス・ヴェール・ストーンのネックレスだ。今から胸高鳴る。二人で乗り込み、漕ぎ出すのは折り紙付きの境界のアボカド・ボート/AVOCADO BORDER BOAT...

流儀と遊戯の王国#11 一流と二流と三流と

  軟弱や要領狡猾や風見鶏や提灯持ちや器用貧乏や迎合やおもねりや無節操が本物の一流になった試しはない。古今東西を問わずにである。店、会社、組織にかぎらず、人間も同様である。二流は二流にしかならないような道を歩いてきたのであり、三流は三流にしかならないような日々を生きてきたのである。 E-M-Mメールの返信について三流は5分間考えたすえに後回し二流は空いた時間にまとめて返す一流はクイックレスポンスする 飲食...

おとなの恋の終わらせ方 - Make Love to Me

   Make Loveで検索すれば、2,147,483,647件の有象無象がヒットする世界に向けて宣う。小僧っ子小娘は以下を読むべからず。 恋は必ず終わる。恋とはなんだ? 「快楽」「快感」の追求である。ヤルことに夢中になっていないのであるならば、それは恋ではない。ただの生活、どこにでも転がっている「人生」だ。ヤリたくてヤリたくしかたないのが恋だ。「ヤリたくてヤリたくしかたない」というメンタリティがない者、理解できない...

夜ふけの車の中で静かな痛みをともなって終りを告げる恋

  『Nuovo Cinema Paradiso』をみたのは泡の時代の真っただ中だった。世界で一番若かった。世界で一番傲り高ぶっていた。世界で一番愚かだった。本気で世界一の大金持ちになれると思いこんでいた。風向きが変わり、土砂降りの日々が数年後にやってくるとも知らずに。脇役であるとも知らずに。脇役ですらなかったとも気づかずに。『Nuovo Cinema Paradiso』で忘れられないのは、映画監督として成功した初老のトト、サルヴァトーレ...

カサブランカ、酔いどれの誇り、人生、浅草キッド、Mよ

  東京から春を告げる贈答が届いた。本と雑誌と酒、ホンホッケとシマホッケの一夜干し、鰆と鯖の西京漬け、筋子の一夜漬け。本は『フェルメールの秘密/イメージの森のなかへ』『かんがえるカエルくん』『ブルくんとかなちゃん』の三冊。雑誌は BRUTUS の特別編集版『合本 居住空間学』。そして、酒は「なにも足さない。なにも引かない。」のサントリー『山崎』の10年、12年、18年がそれぞれ2本ずつ。おなじく『山崎 SHERRY WOOD ...

またひとりぼっちになったツイードのジャケット

   3月。僕はまたひとりぼっちになってしまった。あたりまえのことみたいに。ずっと昔からそうだったみたいに。世界が「あたりまえ」のことで出来あがっているのは200年前から知ってはいたけど、ひとりぼっちは何度経験しても心にずしんとくる。痛む。たいしたことを望んでいるわけではないんだけどな。ただそばにいて欲しいだけなんだけどな。僕は決して多くを望んでいたわけじゃない。たまに二人で食事をして、見つめ合って、...

マカロン・ダンディ#1

  男は目をひいた。白いフラノのパンツ、白いBDシャツ、そして、淡いブルーのジャケット。冬の移動祝祭日の世界の天井の空のような。胸にはうす桃色のポケットチーフがのぞいている。足元を見れば、トップサイダーの海軍色のデッキシューズが軽快にステップを踏んでいる。季節はずれと言えば季節はずれだし、場ちがいと言えばこのうえもなく場ちがいだった。少なくとも真冬の葬列にはそぐわない。ここは夏のキーウェストのカクテ...

カッコイイとはこういうことさ。

  パリの空の下、うたかたの恋はやぶれ、この素晴らしき世界はバラ色の人生との逃避行の果て、カサブランカのリックの酒場に立ち寄り、スティング・バス「心のかたち」停車場を経由して、マギー・メイ号による愛の海セーリングを満喫色欲是空空前絶後放埒自在酒池肉林超絶堪能。最後は下町列車で青年トルコ党本部着。お別れはいつものさよならで。 ロッド・スチュワート。大英帝国第三等勲爵位保持者。イカす。ものすごくイカす...

神宮前でワイン・ヴァン・ヴィーノにダイヴ

  神宮前3丁目。青山通りからキラー通り(外苑西通り)を300メートル・ド・テルほど来て左折、表参道へ抜ける道を入ってすぐに吾輩がワイン・ヴァン・ヴィーノにダイヴし、かわいいブレッド・パン・パーネにウィンクする場所がある。 Dive to Wine Jingu-Mae. 神宮前でワインにダイヴ。今のところは少数の好き者のみが知る隠れ家のごときスペースだ。吾輩はDive to Wine Jingu-Maeで哲学し、思想し、文学し、美術史し、音楽史し...

D'amitié Pour Toujours, Le début d'une Belle Histoire d'amitié

  「疲れたときにはいつでも肩を貸すから」と言い残し、友は帰っていった。「疲れたときには肩を貸すから。いつでも。どこででも。たとえ世界中が敵にまわり、その場所が炎の中心であってもだ。メリー・クリスマス&ハッピー・バースデイ」と別れ際に古い友人は言った。そして、「だから、おれの前でだけは強がらなくていい。なんなら、おれの胸に顔をうずめて泣いてもいいぜ」とつけ加えた。うれしかった。十代、青春のただ中に...

究極のマティーニと古い友情の終わらせ方

  古い戦友の命日。戦友との思い出がぎっしり詰まった酒場に足を運んだ。20年ぶりだ。戦友は探偵で、腕っぷしはめっぽう強いが泣き虫で、酔いどれの誇り高き男で、運に見放されていて、美人に目がないくせに女にはからきし弱く、「いつかゴビ砂漠のど真ん中で究極のマティーニを飲む。そして、死ぬ」が口ぐせで、ネイビーの、ペンシル・ストライプのダブル・ブレステッドのスーツしか着ない男だった。救いは彼が律儀で不器用で無...

サイコーに「好きな」の件:脱ぎすぎたねじまき鳥の疑問に答える。

  好きなサイコーは『最後の晩餐』好きなサイコパスはノーマン・ベイツ好きなノーマンはキングズレー・メイラー好きなメーラーはEudora好きなカードゲームはジン・ラミーとUNO好きな醤油は栄醤油店の「甘露醤油」好きな晦渋は『精神現象学』好きな韜晦は『純粋理性批判』好きな難解は『存在と時間』好きな難儀は『論理哲学論考』好きな陶酔は『存在と無』好きな透徹は『善の研究』好きな愉悦は『エロスの涙』好きな至福は『フー...

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Author:自由放埒軒
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